NOT DESIGN SCHOOL(ノットデザインスクール)

目立つデザインは「周り」で決まる|展示会ブースで学んだ仮説の立て方

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2026/09/28

📌 この記事のポイント

  • 目立つかどうかは、周りのブースとの差で決まる

  • 最初に決めるのは「来る人・成果・周りの雰囲気」

  • 堅い会場では、あえて派手にする仮説もありえる

  • ブース・チラシ・人をひとつの体験として考える

  • 業界や目的が変われば、正解は逆になることもある

2026年9月23日更新

目立つかどうかは、デザイン単体ではなく「周り」との差で決まる

展示会ブースのデザインで大切なのは、ブース単体の見た目ではなく、周りのブースの中でどう見えるかです。落ち着いたブースが並ぶ会場なら、派手なブースが目を引きます。逆に、派手なブースばかりの会場では、静かなブースのほうが目立つこともあります。

2026年9月12日の「NOT DESIGN EXPO」で、NOT DESIGN SCHOOL COOの菊池さんは、講演の直前に出展した展示会の事例を紹介しました。税理士向けの堅い雰囲気の展示会で、あえて派手なブースにした結果、名刺やアポイントがしっかり取れたそうです。この記事では、その事例から、デザインの前に立てる仮説の考え方を整理します。

事例|税理士向けの展示会で、あえて派手にした理由

この事例とは、菊池さんが開発している税理士向けサービスを、会計事務所・税理士向けの展示会に出展した時の話です。

項目

内容

出展したサービス

開発して約半年の、税理士向けの新しいサービス

来場者

主に会計事務所・税理士

周りのブース

会計ソフトなどを扱う企業。業界的にも堅い雰囲気

ブースのデザイン

NOTのメンターがデザインした、目立つタペストリーとバナー

会場での工夫

インパクトのある格好をした役員が会場を歩き、チラシを配る

結果

周りの企業の方や税理士が笑いながら立ち寄り、名刺とアポイントがしっかり取れた

無名のサービスでも、事前に目立っていたおかげで、登壇したセミナーにも人が集まったそうです。菊池さんは、この経験で「どんな場所で、誰のために、何を狙ってデザインするのか」の大切さを改めて学んだと話していました。

考え方1|来場者はどんな人で、どんな状態で会場を歩いているか

最初に考えるのは、ブースの前を通る人が、どんな人で、どんな気持ちで歩いているかです。

ビジネス目線とユーザー目線のスライド

この事例の来場者は税理士でした。菊池さんは、税理士はこうした展示会に何度も来ている、という前提で考えていました。

  • 同じような会社のブースを、何度も見てきている

  • サービスの説明を、じっくり読む前に通り過ぎてしまうことが多い

  • 「今までと違う」と感じるものがあれば、足を止めるかもしれない

ここから、「ツールの中身は、チラシを見て分からなくてもいい。ただ一瞬でも足を止めてもらう必要がある」という仮説が生まれました。

考え方2|成果地点から逆算する

成果地点とは、そのデザインで最終的に達成したいことです。菊池さんの展示会では、成果地点は「税理士の名刺の数」と「アポイントの数」でした。

成果地点

デザインに求めること

名刺・見込み客の数を増やしたい

とにかく足を止めてもらい、話しかけるきっかけを作る

アポイントを取りたい

足を止めた人に、「今までと違うサービスだ」と印象を残す

商品を詳しく理解してほしい

説明を読んでもらえる、落ち着いた構成にする

成果地点が変われば、ふさわしいデザインも変わります。「目立たせる」はあくまで手段で、目的は成果地点にあります。成果地点の聞き方や数字の見方は、NOTのデザイナーのためのマーケティング入門でも解説しています。

考え方3|周りのブースの雰囲気を見る

3つ目は、周りにどんなブースが並ぶのかを想像することです。

広告・SNS・YouTubeの見え方のスライド
Instagram広告とLINE配信の比較スライド

菊池さんの会場では、周りは会計ソフトなどを扱う企業のブース。業界の性質上、落ち着いた雰囲気のブースが多くなります。そこで、「みんながやっていないことをやろう」と考えました。

  • キャッチーな言葉を大きく使う

  • インパクトのある人物を会場に歩かせる

  • 受付で配られたチラシにも、同じ派手なデザインを使う

これは、Webバナーで「掲載される場所の周りに何が並ぶか」を考えるのと同じ発想です。掲載先ごとの考え方は、NOTのバナーは「掲載先」で正解が変わるで詳しく紹介しています。

「悪目立ち」と「目を引く」の違い

菊池さんは、自分たちのブースを「悪目立ち」させたと笑いながら話していました。ただし、ただ派手なだけではありません。キャッチーな言葉でサービスの特徴を伝え、チラシや人物にも同じデザインを使って、「派手だけど、何のブースかは分かる」状態を作っています。

目立たせる時に気をつけたいのは、見た人が「何の会社か分からない」と感じて通り過ぎてしまうことです。派手さで足を止めた後に、サービス名や一言の特徴がすぐ目に入るかを確認しておくと、目を引いた効果を話につなげやすくなります。

ブース・チラシ・人を、ひとつの体験として考える

展示会のデザインは、ブースの装飾だけでなく、チラシや会場を歩く人まで含めた体験として考えると効果が上がります。

菊池さんの事例では、来場者の体験がこうつながっていました。

  1. 会場で、インパクトのある人物を見かける

  2. 受付で、派手なチラシを受け取る

  3. 「このチラシのブースはどこだろう」とブースを探す

  4. 「税理士向けに、今までと雰囲気の違うサービスがあるのか」と足を止める

接点

役割

会場を歩く人

最初に「何だろう?」と思わせる

チラシ

人とブースをつなぎ、記憶に残す

ブース

足を止めてもらい、話すきっかけを作る

セミナー

興味を持った人に、詳しく伝える

展示会ブースのデザインの一般的なコツ(通路側を開ける、遠くから見える色を使う、メッセージを絞る)は、アスクルの展示会ブースデザインの解説などでも紹介されています。そのうえで、どのコツを選ぶかは、来る人・成果・周りの3つから決めるのが、今回の事例から学べることです。

講演で紹介された「3つのこと」の整理

この記事の3つの考え方は、菊池さんが講演の全体を通して話していた内容とつながっています。菊池さんは、選ばれ続けるデザイナーの理由として、成果地点を聞けること、数字で振り返れること、場で作り分けられることの3つを挙げていました。

講演の3つの理由

展示会ではどう使うか

成果地点を聞ける

名刺の数なのか、アポイントなのかを出展前に確認する

数字で振り返れる

展示会の後に、名刺やアポイントの数を聞き、仮説が当たったかを確かめる

場で作り分けられる

周りのブースや来場者の状態に合わせて、デザインの方向を決める

展示会は、この3つを一度に試せる場です。Webバナーより結果が目に見えやすいので、デザイナーがマーケティングの考え方を身につける練習の場としても向いています。

デザインの前に書く「仮説シート」

仮説シートとは、デザインを始める前に、来る人・成果・周りの3つを1枚に書き出す表です。菊池さんの事例を記入例として使い、自分の案件でも同じ形で書いてみてください。

項目

記入例(菊池さんの展示会)

自分の案件

来る人

税理士。展示会には何度も来ている

来る人の状態

似たブースを見慣れていて、説明は読まずに通り過ぎがち

成果地点

名刺の数、アポイントの数

周りの雰囲気

会計ソフトなど、堅く落ち着いたブースが多い

仮説

中身は伝わらなくてもいい。一瞬でも足を止めてもらえれば、話につなげられる

デザインの方向

キャッチーな言葉、派手な配色、会場を歩く人物で目立たせる

「仮説」の欄は、「〇〇だから、△△すれば、□□になるはず」の形で書くと、デザインを説明する時にもそのまま使えます。

展示会の前に、担当者に聞く5つのこと

担当者に聞くこととは、仮説シートを埋めるために、デザイナーが事前に確認しておきたい情報です。

  1. 来場者はどんな人ですか?(業種、役職、何回目の来場が多いか)

  2. 今回の成果は何で測りますか?(名刺の数、アポイント、商談、認知など)

  3. 周りにはどんな会社が出展しますか?(競合、隣のブース、会場の雰囲気)

  4. ブース以外に、使える接点はありますか?(チラシ、ノベルティ、セミナー、スタッフの服装)

  5. 会場の規定はありますか?(高さ、照明、音、配布物のルール)

特に3つ目の「周り」は、デザイナーから聞かないと共有されないことが多い情報です。出展者の一覧が公開されていれば、事前に目を通しておくと仮説を立てやすくなります。

展示会の後に、結果を振り返る

展示会が終わったら、仮説が当たっていたかを振り返ります。菊池さんも、実際にブースを作ってくれたメンターに「大反響だった」と伝え、数値がまとまったら報告したいと話していました。デザイナーの側からも、結果を聞きに行くことが大切です。

振り返る項目

確認すること

仮説

「足を止めてもらえれば話につながる」は当たっていたか

成果地点

名刺やアポイントは、目標に届いたか

接点

ブース、チラシ、人、セミナーのどこで興味を持ってもらえたか

次回

次の展示会で、何を変えるか

振り返りの内容を仮説シートに書き足しておくと、次の展示会で最初から良い仮説を立てられます。

校長の見解|「どこで、誰に、何を狙うか」は、どの制作物でも同じ

もちは、この事例を聞いて、Webバナーでも展示会でも考え方は同じだと感じました。デザイナーとして大切にしたいことをまとめます。

「一緒に考えて」「結果が返ってくる」のスライド
  • 「どこで、誰に、何を狙うか」は、バナーでも展示会でも同じ考え方。 制作物の種類が変わっても、最初に考えることは変わらないと思っています

  • 目立つことが目的ではない。 足を止めてもらった後に、どう話につなげるかまで考えられると、デザインの価値が上がります

  • 事業の成果まで一緒に考えられるデザイナーは、ずっと選ばれる。 菊池さんも、発注する側から見て、そこまで考えてくれるデザイナーは強いと話していました

限界と注意点

  • 派手さが合うのは、条件がそろった場合です。 周りが落ち着いた会場で、知名度を上げたい時には有効ですが、高級感や信頼感を大切にしたい業界では逆効果になることもあります

  • 会場ごとに装飾の規定があります。 ブースの高さ、照明、音、配布物などのルールは、出展前に主催者の規定を確認してください

  • 講演の事例は1回分の結果です。 菊池さんも、詳しい数値はこれから集計すると話していました。同じ方法で同じ結果が出るとは限りません

  • 会場に人を歩かせる演出は、主催者の許可が必要な場合があります

展示会ブースのデザインについてよくある質問

展示会ブースは、派手にしたほうがいいですか?

そうとは限りません。周りのブースが落ち着いている会場なら派手さが目立ちますが、周りが派手な会場では逆に埋もれてしまいます。まずは周りの雰囲気を調べてください。

デザイナーは、展示会のどこまで関わればいいですか?

ブースの装飾だけでなく、チラシや配布物、当日の見せ方まで一緒に考えられると、成果につながりやすくなります。まずは成果地点を担当者に聞くところから始めてください。

来場者の情報は、どうやって調べればいいですか?

主催者の出展案内に、来場者の業種や役職の傾向が載っていることが多いです。過去の開催レポートも参考になります。

展示会の成果は、何で測ればいいですか?

名刺の数、アポイントの数、商談の数などが一般的です。出展前に「何を成果とするか」を担当者と決めておくと、デザインの方向も決めやすくなります。

小さなブースでも、同じ考え方は使えますか?

使えます。ブースが小さいほど、周りとの差で目立つかどうかが決まりやすくなります。まずは来る人と成果地点を決めて、装飾に使える場所を絞り込んでください。

展示会のデザインは、バナーのデザインと何が違いますか?

来場者が歩きながら見ること、実物の大きさで見ること、人やチラシと組み合わせられることが違いです。一方で、どこで誰に何を狙うかを考える点は同じです。

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