NOT DESIGN SCHOOL(ノットデザインスクール)

良いポートフォリオは作品集ではない|採用担当者が見ている5つのこと

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2026/09/30

📌 この記事のポイント

  • 良いポートフォリオは「採用プレゼン資料」

  • 見られるのは熱意・継続力・伸びしろ・デザイン力・人となり

  • 経験の少なさは弱みではなく、伸びしろという強み

  • 採用担当者もデザイナー。細部まで見られている

  • 人となりは、デザイン力と同じくらい重要

2026年9月23日更新

良いポートフォリオは「一緒に仕事をしたい」と思われる採用プレゼン資料

良いポートフォリオとは、作品のクオリティを見せる作品集ではなく、「この人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらうための採用プレゼン資料です。作品の出来に加えて、考え方や人柄まで伝わるかどうかが、選ばれるかどうかを分けます。

「この人と一緒に仕事をしたい」と思われる採用プレゼン資料

2026年9月12日の「NOT DESIGN EXPO」で、グラフィックデザイナー歴27年のツネカドさんは、この考え方を軸にポートフォリオの話をしました。ツネカドさんは、広告代理店の制作部門、広告制作会社、インハウスデザイナーを経て、現在はフリーランス。デザイン系の専門学校など3つの教育機関で、ポートフォリオ指導にも携わっています。この記事では、採用担当者が作品以外に何を見ているのかを、5つの視点で考えます。

作品が良ければ選ばれた時代から、何が変わったか

ポートフォリオで見られるものは、作品の出来から、考える力と人柄へと広がっています。 ツネカドさんは、自身が就職活動をした20代の頃は「作品のクオリティが高ければ採用される時代だった」と振り返っていました。

グラフィックのポートフォリオで伝えたい5つの視点

以前

今

作品のクオリティが高ければ選ばれた

なぜそのデザインかを説明する力も見られる

作品の量で実力を示した

企画や課題の解決方法まで考える力が見られる

デザインの腕が中心

一緒に気持ちよく働けそうかも見られる

「この人いい人だな」「コミュニケーション力が高そう」「机を並べて気持ちよく働けそう」。こうした、一緒に働く人としての魅力も含めて判断されています。

では、「一緒に仕事をしたい」と思ってもらうには、何を伝えればいいのでしょうか。ツネカドさんは5つの視点を挙げ、「熱意・継続で、デザインが伸びる人」という覚え方も紹介していました。

視点

採用担当者が知りたいこと

ポートフォリオで伝える場所

熱意

なぜこの会社なのか

プロフィール・志望動機

継続力

長く働き、困難を乗り越えられるか

プロフィール・経歴

伸びしろ

これから成長していけるか

自主制作の作品ページ

デザイン力

基本が身についているか

ポートフォリオ全体

人となり

一緒に気持ちよく働けるか

自己紹介・大切にしていること

見られていること1・2|熱意と継続力

熱意とは、その会社だからこそ働きたい、という自分だけの理由です。ツネカドさんは、例えば次のような伝え方を挙げていました。

熱意のスライド
継続力のスライド

「御社が手がけた〇〇化粧品の広告に衝撃を受け、心を動かす広告を作りたいと思いました。この広告との出会いが、デザイナーを目指したきっかけです」

本音を語るのは恥ずかしいかもしれません。それでも、心の中の思いを伝えることで本気度が伝わり、印象に残る応募者になれると話していました。

継続力とは、ひとつのことに粘り強く取り組めることです。「令和の今に、石の上にも三年?」と思うかもしれません。ツネカドさんは、企業にとって1人を採用するには多くの時間とコストがかかるからこそ、今は継続力に価値があると考えています。

  • 3年連続で、デザインの年鑑に自主制作の作品を応募した

  • 小学校から高校まで陸上部を続け、大会に出場した

デザインに直接関係のない経験でも、「何年、どんなことを続けてきた人か」は継続力を伝える材料になります。

見られていること3|伸びしろ(経験が少ないことは弱みではない)

伸びしろとは、これから成長していける可能性のことです。ツネカドさんは、経験が少ないことは弱みではなく、伸びしろがあるという強みだと話していました。

伸びしろのスライド

伸びしろを伝える方法として、ツネカドさんが就職活動で最も有効だと考えているのが、応募する会社のメインクライアントの仕事を、1つ自主制作してポートフォリオに入れることです。デザインの意図や思考の過程を丁寧に見せると、採用担当者は「ここまで考えてくれたんだ」と強く印象に残るそうです。

実務経験が少なくても、主体性、考える力、入社への熱意がまとめて伝わります。

見られていること4|デザイン力(ポートフォリオそのものが作品)

デザイン力とは、レイアウト、文字組、写真の扱いといった、デザインの基本が身についていることです。ツネカドさんは、ポートフォリオそのものを1つの作品として作ることをすすめていました。

デザイン力のスライド
  • デザインの4原則(近接・整列・反復・対比)を意識してレイアウトする

  • 文字組と写真のクオリティで、丁寧さを見せる

4原則は、書籍『ノンデザイナーズ・デザインブック』(マイナビ出版)で詳しく学べます。ツネカドさんも、繰り返し読むことをすすめていました。

採用担当者は、細部まで見ている

採用担当者もデザイナーです。作品の中身だけでなく、ページが折れ曲がっていないか、汚れていないか、ファイルのカバーが曇っていないかまで見られています。中身だけでなく、細部への気配りもデザイン力の一部です。

伸びしろを伝える作品の考え方

応募先のクライアントの仕事を自主制作する時は、完成したデザインだけでなく、なぜその案にたどり着いたのかを見せることが大切です。ツネカドさんは、デザインの意図や思考のプロセスを丁寧に見せることで、「ここまで考えてくれたんだ」という印象が残ると話していました。

例えば、応募先が化粧品の広告を多く手がけているなら、その化粧品ブランドの新しい広告案を1つ作り、ターゲット、伝えたいこと、ラフ案、選んだ理由までを見せます。実務経験がなくても、考える力と入社への熱意がまとめて伝わる作品になります。

見られていること5|人となり(講師自身の20代の失敗から)

人となりとは、その人の人柄や、仕事への向き合い方のことです。ツネカドさんは、5つの中でこれがいちばん伝えたい内容だと話していました。

人となりのスライド

ツネカドさん自身、20代の頃は態度やコミュニケーションがひどく、試用期間で「もう来なくていいよ」と言われ、仕事が終わってしまったことが何度かあったそうです。その経験から、「この人と一緒に仕事がしたい」と思ってもらえる人となりが、とても重要だと感じていると語っていました。

一緒に働きたいと思われる人

ポートフォリオでの伝え方の例

相手の立場に立って行動できる

「仕事で大切にしていること」に書く

感謝を自然に伝えられる

周囲への気配りを大切にしている、と書く

機嫌よく、穏やかにいられる

チームでの役割や、雰囲気づくりの経験を書く

話をきちんと聞き、自分の考えを伝えられる

報告・連絡・相談を徹底している、と書く

人となりやコミュニケーション力は、デザイン力と同じくらい重要です。プロフィールで人となりを伝えることが、他の応募者との差につながります。

5つの視点のセルフチェック

セルフチェックとは、自分のポートフォリオが5つの視点を伝えられているかを、提出前に確かめる表です。1つでも「いいえ」があれば、その部分から見直してください。

視点

チェックする問い

はい/いいえ

熱意

応募先の会社だからこそ働きたい理由が、自分の言葉で書かれているか

継続力

何年、どんなことを続けてきたかが、プロフィールに書かれているか

伸びしろ

応募先に関係する自主制作があり、考えた過程が見えるか

デザイン力

レイアウトが4原則にそろい、折れや汚れなど細部まで整っているか

人となり

仕事で大切にしていることが、実際の行動と一緒に書かれているか

ポートフォリオでよくあるつまずき

よくあるつまずきとは、講演で挙がった、選ばれにくくなるポートフォリオの特徴です。ツネカドさんが紹介した例を、直し方と一緒にまとめました。

つまずき

なぜ伝わりにくいか

直し方

「何でもできます」と趣味や特技を並べる

結局何が得意か分からず、印象に残らない

1つに絞って、印象を残す

古い作品から時系列で並べる

最初の古い作品だけで判断されてしまう

自己紹介のあとに、いちばんの自信作を置く

作品の画像だけを並べる

なぜそのデザインか、考える力が伝わらない

コンセプト、誰に向けたか、制作過程を添える

プロフィールが1ページだけ

人となりや継続力が伝わらない

4ページ以上で、経歴・続けてきたこと・大切にしていることを書く

写真が暗い、ピントが合っていない

細部への気配りが足りない印象になる

カメラマンに頼むか、どうしても微妙なら白黒にする

どれも、作品のクオリティとは別のところで評価が下がってしまう例です。作品を作り込む前に、まずこの表の項目を確認してみてください。

5つの視点は、1冊の中で分担して伝える

5つの視点を、すべてのページで伝えようとする必要はありません。熱意と人となりはプロフィールで、伸びしろは自主制作の作品で、デザイン力はポートフォリオ全体で、というように、ページごとに役割を分けて伝えると、1冊の中で自然に5つがそろいます。

校長の見解|「なぜそのデザインか」を説明できることを大事にしたい

もちがイベント冒頭で話したNOTの方針は、なぜその形や書体、配置を選んだかを説明できるデザイナーを育てることでした。ツネカドさんの話を聞いて、ポートフォリオにも同じことが言えると感じています。

「改めて、良いポートフォリオとは何か」のスライド
  • NOTでも、作品の出来だけでなく「なぜそのデザインか」を説明できることを大事にしている。 ポートフォリオは、その説明を採用担当者に届ける場所だと思っています

  • 人となりは、作ったように書くより、実際にしていることを具体的に書くほうが伝わる。 「気配りができます」より、「新しく入った人に最初の1週間の手順書を作った」のほうが、人柄が見えると感じています

  • 自信作を先頭に置くのは、見る人の時間を大事にすることでもある。 忙しい採用担当者への気配りも、人となりの一部だと、もちは思っています

限界と注意点

  • 会社の規模や職種で、見られるポイントは変わります。 応募先の実績や求人の内容を確認し、何が求められているかを考えてください

  • 実在の会社の仕事を自主制作する時は、自主制作であることを明記しましょう。 実際の仕事と誤解されないようにします

  • 継続力のアピールは、無理を続けることではありません。 ツネカドさんも、いじめやハラスメントがあるような環境からは「逃げるが勝ち」だと話していました

  • 5つの視点は、グラフィックデザイナーの採用を中心にした考え方です。 Webデザイナーのポートフォリオで意識したいことは、ポートフォリオシリーズのWeb編で紹介しています

ポートフォリオの考え方についてよくある質問

作品が少なくても、ポートフォリオを作っていいですか?

作れます。経験が少ないことは伸びしろという強みです。応募先のクライアントの仕事を自主制作するなど、考える過程を丁寧に見せる作品を加えると、作品の少なさを補えます。

自己PRに、デザインと関係ない経験を書いてもいいですか?

書いて大丈夫です。部活や趣味を長く続けた経験は、継続力を伝える材料になります。ただし、いろいろ書きすぎず、印象に残る1つに絞るのがおすすめです。

人となりは、どうやって伝えればいいですか?

自己紹介ページに「仕事で大切にしていること」という項目を作り、実際にしている行動を書くのがおすすめです。

採用担当者は、ポートフォリオを何分くらい見ていますか?

時間は会社によって違いますが、ツネカドさんは、見る時間が限られているので最初の数ページが勝負だと話していました。自信作を先頭に置いてください。

ポートフォリオと履歴書で、同じことを書いてもいいですか?

内容が重なっても問題ありません。ただ、ポートフォリオでは文章だけでなく、写真やレイアウトで人となりを伝えられます。履歴書より一歩踏み込んで、大切にしていることや続けてきたことを具体的に書いてください。

人となりを書くのが恥ずかしいです。

ツネカドさんも、本音を語るのは恥ずかしいかもしれないと話していました。まずは「実際にしていること」を事実として書くところから始めると、自然に人柄が伝わります。

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