NOT DESIGN SCHOOL(ノットデザインスクール)

デザインセンスを後天的に身につける方法|「分解→再現」サイクル4ステップ上達ロードマップ

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2026/05/19

「デザインセンスがないから、いいデザインが作れない」「センスは生まれ持ったものだから、後から身につけるのは無理」。駆け出しデザイナーの多くが、こんな思い込みに縛られています。

でも実は、デザインセンスは後天的に磨けるスキルです。しかも、再現性のあるシンプルな練習法で。

本記事では、NOT DESIGN SCHOOLのUIデザインメンター・キャシ(Katherine)さんのウェビナー「非デザイナーのためのデザイン入門!〜センスに頼らない"形容詞の魔法"を覚えよう〜」をベースに、「分解→再現」サイクルの4ステップ上達ロードマップを解説します。Airbnbのブランドカラーを5要素で分解する実例つきで、駆け出しが今日から始められる練習法を完全ガイドします。

本記事は「センスに頼らないデザイン」シリーズの第5弾です。先にハブ記事「デザインのセンスは磨ける|形容詞起点の3ステップ完全ガイド」を読むと理解が深まります。

▶ ウェビナー動画:非デザイナーのためのデザイン入門!〜センスに頼らない"形容詞の魔法"を覚えよう〜


1. 「センスがある人」と「ない人」の違いとは?|パターン認識の自動化

そもそも、「センスがある人」とは何が違うのでしょうか?

キャシさんはウェビナーで、こう言い切っています。

センスの正体は、パターン認識の自動化

つまり、センスがある人は「形容詞→色→形→空間」の翻訳プロセスを 0.5秒で無意識にやっているだけ。プロセスそのものは、駆け出しと変わりません。違いは「意識的にやっているか、無意識でやっているか」だけです。

センスを「分解」してみる

「センスがある」と感じる人の頭の中では、以下のプロセスが瞬時に走っています。

ステップ

センスがある人(0.5秒)

駆け出し(30分)

1. 観察

視界に入った瞬間に「これは○○系」と分類

じっと見て「うーん、何系だろう」と考える

2. 分解

色相・彩度・明度・形・余白を瞬時に把握

一つずつ確認する

3. 言語化

「Friendly/Modern/Bold」と即答

「いい感じ」止まり

4. 再現

別の文脈にすぐ応用

真似することで精一杯

プロセスは同じ、速度が違うだけ。ということは、意識的にプロセスを繰り返せば、後天的にセンスは身につきます。

センスを後天的に磨く2つの基本原則

原則

内容

反復

「観察→分解→言語化→再現」を毎日繰り返す

質より量

完璧な分析より、たくさんの分析回数を優先する

3ヶ月続けたら、明確な変化を感じられます。半年でクライアントの反応が変わります。1年でデザインの提案力が別次元になります。


2. センスを磨く前にやるべき2つの土台作り

「分解→再現」を始める前に、以下2つの土台があるとスムーズです。

土台1|形容詞ボキャブラリーを増やす

「Friendly」「Bold」「Modern」「Authentic」「Playful」など、ビジュアル表現に使える形容詞を100個ほどストックしておきます。これがないと、デザインを見ても言語化できません。

形容詞ボキャブラリーの集め方

  • giffgaffなどブランドガイドラインから抽出:4形容詞(Friendly/Playful/Bold/Spirited)など、実例ベースで覚える

  • 対義語ペアで覚える:「Modern↔Classic」「Bold↔Subtle」「Warm↔Cool」など

  • シーン別に整理:「ビジネス系」「カジュアル系」「ラグジュアリー系」「クラフト系」など

ハブ記事のステップ2「形容詞でムードを定める」でも詳しく解説しています。

土台2|色相環マップを暗記する

色相0〜360°のどのエリアがどの形容詞に対応するかを、6エリア(60°きざみ)で覚えます。これが頭に入っていれば、デザインを見た瞬間に「色相約240°、青系、信頼感」と分解できるようになります。

角度

形容詞

0〜60°

情熱/興奮/エネルギー

60〜120°

元気/快活/楽しさ

120〜180°

安心/健康/癒し

180〜240°

爽快/革新/解放感

240〜300°

信頼/知的/秩序

300〜360°

創造性/個性/遊び心

詳しくはシリーズ#2「色相環×形容詞 完全マップ」を参照してください。

これら2つの土台ができたら、本題の「分解→再現」サイクルに入ります。


3. 「分解→再現」練習法 4ステップの全体像

「分解→再現」サイクルとは、優れたデザインを観察→言語化→ルール抽出→別文脈で再現するという練習プロセスのことです。

ステップ

内容

所要時間/頻度

ステップ1

毎日5分の「3形容詞分解ワーク」

5分/毎日

ステップ2

5要素分解法(HSL値・文化的連想・ブランド整合性まで)

30分/週2〜3回

ステップ3

抽出ルールを別コンテキストで再現する

1〜2時間/週1回

ステップ4

1ヶ月の振り返りで上達を可視化する

1時間/月1回

合計週3〜4時間程度で、3ヶ月後には明確な変化が出ます。重要なのは毎日5分の継続。週末にまとめて2時間より、毎日5分のほうが脳に定着します。


4. ステップ1|毎日5分の「3形容詞分解ワーク」

まず最初は、毎日5分の習慣化から始めます。これがすべての土台になります。

練習法

  1. Pinterest や Instagram、街中の広告から好きなデザインを1つ選ぶ

  2. 3つの形容詞で言語化する(10秒以内)

  3. ノート・スマホメモ・専用アプリに記録する

たったこれだけ。毎日続けることが最大のポイントです。

練習の対象例

ハブ記事の校長の見解 視点3でも紹介していますが、日常で目にする以下のシーンが練習場になります。

シーン

練習対象

形容詞例

電車待ちの中吊り広告

企業の新サービスポスター

信頼/革新/親しみ

カフェのメニュー表

パッケージ・ロゴ

自然/温かい/本物

コンビニの新パッケージ

食品・飲料パッケージ

元気/カジュアル/健康

アプリのスクショ・LP

UI/LPデザイン

洗練/効率的/信頼

YouTube・SNS広告

動画広告のサムネ

緊急/興奮/挑戦

「ハードルを下げる」が継続のコツ

最初は1日1個・3形容詞だけで十分。慣れてきたら1日3個・各3形容詞に増やす、さらに慣れたら10秒→3秒→1秒とスピードを上げていきます。

スマホをスクロールする時間の代わりに1個分解するだけで、1日5分が確保できます。「やる時間がない」を言い訳にしない設計が大事です。


5. ステップ2|5要素分解法(Airbnb赤の実例つき)

毎日5分のワークに慣れてきたら、深い分解にも挑戦します。これが5要素分解法です。

5要素分解とは?

ビジュアル要素を以下の5つの観点で分解する手法です。キャシさんがウェビナーで実演した、Airbnb のブランドカラー(ピンクレッド #FF385C)の分解例で説明します。

Airbnb 赤(#FF385C)の5要素分解

要素

Airbnbの分析

要素1: 色相(Hue)

約350°(ピンクレッド寄り、暖色系・620〜630nmの波長)

要素2: 彩度(Saturation)

100%(高彩度・印象的)

要素3: 明度(Lightness)

中程度(HSL: 61%)。50%だと攻撃的すぎる

要素4: 文化的連想

情熱・親しみ・歓迎・ホーム感(赤系の文化的意味)

要素5: ブランド整合性

"Belong Anywhere"(どこにいてもあなたの居場所)の温かさ+包括性を体現

競合との比較で立体的に理解する

5要素分解は、競合との比較でさらに立体的になります。

ブランド

形容詞ポジション

Airbnb

ピンクレッド

情熱・親しみ・温かさ(感情的・コミュニティ寄り)

Booking.com

信頼・効率・ビジネス的

Expedia

青+黄

論理的・効率的(実利寄り)

このように分解すると「Airbnbはなぜピンクレッドを選んだのか」が、競合との差別化軸として明確に見えてきます。

実践のコツ

  • HSL値はFigmaのカラーピッカーで取れる(カラー上で右クリック→Inspect、もしくはプラグインImage Paletteを使う)

  • 5要素分解は週2〜3回でOK(毎日やると重い)

  • 競合3社と比較する習慣で、ブランドポジショニングが見えてくる

慣れたら、5要素を3秒で言えるようになります。これが「センスがある人」の頭の中です。


6. ステップ3|抽出ルールを別コンテキストで再現する

分解だけで終わると「真似」止まりです。重要なのは「抽出したルールを別コンテキストで再現する」こと。

「再現」の具体例

例:Airbnbのピンクレッドを分解して以下のルールを抽出した

【Airbnbから抽出したルール】
- 競合(青系BtoB)と差別化するなら、暖色系を選ぶ
- 高彩度+中明度で「攻撃的すぎない印象」を作る
- ミッションと色を直結させる("Belong Anywhere" → 温かさ)

このルールを、全く別の文脈で再現してみます。

別コンテキストでの再現例

例1: 駆け出しデザイナー向けの新サービス

ミッション:駆け出しが安心してデザイン学習を続けられるコミュニティ
→ 競合(ビジネス系青)と差別化 → 暖色を選ぶ
→ 「歓迎・包括」を表現 → ピンクレッド系(コーラル)
→ ただし新規性も出したい → 彩度を80%に下げて少し落ち着かせる

例2: 子供向けの教育アプリ

ミッション:子供が楽しく学べる
→ 競合(教育系青・緑)と差別化 → 暖色+遊び心
→ 「楽しさ・温かさ」を表現 → オレンジ+黄色
→ 子供向け → 高彩度・高明度で明るく

このように、抽出ルールが別の文脈でも応用できるようになると、デザインの引き出しが大きく増えます。

再現の失敗パターン

  • そのまま色をコピーする(パクリ作品)

  • 抽出ルールを言語化せず雰囲気だけ真似る(再現性ゼロ)

  • 抽出したルール(言語化済み)を別文脈に適用(応用力UP)

ルールに昇華する」のが分解と再現の橋渡しです。


7. ステップ4|1ヶ月の振り返りで上達を可視化する

センスは目に見えにくいスキルなので、定期的な振り返りが継続の鍵になります。

振り返りの3つの問い

毎月末に、以下の3つを自分に問いかけます。

問い

チェック内容

Q1: 今月、何個分解した?

数を可視化(30個未満なら頻度を上げる)

Q2: 先月と比べて、分解スピードは上がった?

1個あたりの所要時間を計測

Q3: 抽出ルールを別文脈で再現できた?

ステップ3を何回実践したか

振り返りシートの例

【2026年5月の振り返り】

分解数:35個(先月+10個 ✅)
平均所要時間:1分20秒(先月:3分・短縮 ✅)
別文脈再現:3回(プロジェクトA・B・C)
気づき:暖色系の分析が増えた。寒色系も意識的に増やす
来月の目標:寒色系15個・モノクロ系5個を分解する

上達が見える化されると続けやすい

自分が伸びている実感」がないと、人は続けられません。月1回の振り返りで、数字+気づきを残すことで、継続のモチベーションが保たれます

NOTで生徒さんを見ていても、この振り返りを習慣化している人ほど、3ヶ月で別人レベルに伸びるケースが多いです。


8. 校長の見解|AI時代の練習法

ここからは、NOT DESIGN SCHOOL校長のもちが、デザインセンスの練習について思うところを書いていきます。

視点1:練習は「毎日5分の言語化ワーク」からでOK

1時間×週1回より、5分×毎日のほうが定着しやすいと、もちは感じています。

理由はシンプルで、「ハードルが低いほど続きやすい」から。「今日は時間ない」を言い訳にしない設計が大事です。スマホをスクロールしている時間の一部を、1個だけ分解する時間に振り替えるだけでOK。

最初の1週間は「やったことを記録する」だけで十分。記録を見返すと、自分の成長が可視化されて続けやすくなります。

視点2:「分解→再現」サイクルを1ヶ月続けると、設計力が自然に育つ

NOTで生徒さんを見ていて、数ヶ月で別人レベルに伸びる人の共通項は「分解→再現を日常化している」ことです。

逆に、知識を詰め込むだけ・ツールの操作を覚えるだけの人は、伸び悩みやすい傾向があります。デザインスキルは「知識量」ではなく「観察→言語化→再現の反復回数」で決まる、と感じています。筋トレと一緒ですね。

知識ゼロから始めても、毎日5分の習慣がある人のほうが、半年後には大きく差がつきます。日々の積み重ねに勝るものなしです。

視点3:AI時代でも「自分で分解する」スキルは消えない

Claude、ChatGPT、Gemini、Figma Make などのAIにムードボードや配色を作らせる時代でも、「これは何が良くて、何が外せるか」を判断する分解力は、人間の領域として残ると、もちは思っています。

むしろAIが普及するほど、「AIの提案を分解→評価する力」が差別化要因になっていきます。AIに「分析して」と頼むだけでは、自分の分解力は育ちません。まず自分で分解→AIに答え合わせの順番が、これからの練習法として有効です。


9. 限界と注意点|練習を続けるコツ

「分解→再現」サイクルは万能ですが、以下の3点に注意してください。

注意点1:模写・トレースに留まると「真似」で終わる

「Pinterestで気に入ったデザインをPhotoshopで模写」だけでは、手の動きの練習にしかなりません

重要なのは「分解→抽出→再現」の3段階。

  • 分解:5要素で観察する

  • 抽出:ルールを言語化する

  • 再現:別文脈で応用する

模写は手段であって、目的ではありません。「ルールに昇華する」フェーズを必ず入れることが、上達の鍵です。

注意点2:1日でセンスが身につくわけではない(最低3ヶ月の継続が前提)

「1週間で上達したい」という期待は、必ず挫折を生みます。

センスはだいたい3ヶ月くらいで違いが見え始め、半年で他人から指摘され、1年で別次元になるようなスキルです。短期成果を期待すると、続きません。「気がついたら変わってる」期待感で始めるのが、続けるコツです。

NOTのカリキュラムでも、最低6ヶ月の継続を前提に設計しています。

注意点3:AIに任せきりだと「分解力」は鍛えられない

AIに「このデザインを分析して」と頼むだけでは、自分の分解力は鍛えられません。

正しい順番は:

1. まず自分で5要素分解する
2. 自分の分析をメモする
3. AIに同じ画像を分析してもらう
4. 自分の分析と比較する
5. 抜け落ちた観点を学習する

この「自分で分解→AIに答え合わせ」の順番なら、AIを活用しながら分解力が育ちます。AIに任せると、分解力は育たずに「使える知識」だけが増えてしまいます。


10. FAQ

Q1. 1日5分で本当にセンスが身につきますか?

A. 5分×毎日の継続なら、3ヶ月くらいから段々と変化が出ます。まずは1日1つ練習して、100個達成を目指してみましょう。重要なのは「分解した内容を記録する」こと。記録があれば、振り返りで自分の成長が可視化され、継続のモチベーションが保たれます。記録なしで5分やっても定着しないので、ノート・スマホメモ・専用アプリのどれかに残す習慣をつけてください。

Q2. 何を題材に分解すればいいか分かりません。

A.好きなブランドのデザイン」から始めるのがおすすめ。Apple、Nike、giffgaff、Airbnb、Spotifyなど、世界的に有名なブランドは分解教材として最適です。慣れてきたら、街中の広告・コンビニのパッケージ・カフェのメニュー表など、日常の中にある全てのデザインが題材になります。詳しくはハブ記事の校長の見解 視点3を参照。

Q3. 5要素分解の「文化的連想」が分かりません。

A. 『色彩心理 配色アイデアブック』(南涼子著/ホビージャパン)が1冊目におすすめです。色彩心理に基づいた配色パターンがキーワード別・写真付きで紹介されていて、駆け出しでも実務にすぐ活かせます。色の文化的意味は地域や宗教で変わるので、「赤=中国では幸運」「白=日本では喪」「緑=イスラム圏では神聖」などの基礎知識があると、分解の精度が上がります。詳しくはシリーズ#2「色相環×形容詞 完全マップ」の限界注意点1も参照。

Q4. AIに分解してもらえば、自分でやらなくていいのでは?

A. 短期的にはAIに任せれば早いですが、自分の分解力は育ちません。AIが進化するほど「AIの提案を評価・選別する力」が重要になり、それは「自分で分解した経験」がないとできません。「自分で分解→AIに答え合わせ」の順番なら、AIを活用しながら自分の力も育ちます。


参考リンク

ウェビナー動画

スピーカー

  • キャシ(Katherine)さん:NOT DESIGN SCHOOL UIデザインメンター

  • 肩書き:シニアデジタルプロダクトデザイナー/Friends of Figma London Group Leader

  • X:@uialchemistjp

ツール

出典・公式ドキュメント

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