NOT DESIGN SCHOOL(ノットデザインスクール)

入稿ミスをなくす18のチェック項目|実例つき

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2026/08/10

📌 この記事のポイント

  • 入稿事故は5パターンしかない。原因別に潰せば防げる

  • 曜日を1文字間違えて刷り直し、損失は数十万円規模

  • 解像度は「足りない」だけでなく「過剰」も事故になる

  • 塗り足し3mm・実効解像度350ppi・総インキ量300%が基準

  • 効く防御は原寸プリントと「別のマシンで開く」の2つ

2026年8月17日更新

入稿ミスは才能ではなく「工程」で防げる

入稿データの事故は、5つのパターン(サイズ・カラー・文字・画像・データ管理)にほぼ収まります。つまり、この5領域を18項目に分解してチェックすれば、経験年数に関係なく事故の大半は止められます。逆に言えば、チェックリストを持たずに毎回「気をつける」で乗り切ろうとする限り、キャリアが何年あってもミスは出ます。

この記事は、NOT DESIGN SCHOOLで開催した入稿データ作成ワークショップを土台にしています。講師はNOTメンターのたぬきさん。北海道札幌市でフリーランスのグラフィックデザイナーとして、チラシ・ポスター・名刺・ロゴ・パッケージ・展示会ブースまで手がけている実務家です。

入稿とは?印刷会社に「完全データ」を渡すこと

入稿とは、そのまま印刷できる状態のデータを次の工程へ渡す行為です。デザイナーから印刷会社へ渡すケースが典型ですが、野毛印刷の解説にある通り、クライアントが原稿を制作会社へ渡すことも入稿と呼ばれるため、会話では「誰から誰へ」を確認しておくと齟齬が減ります。

Illustratorでの入稿には2つの形式があります。今回扱うのは、事故が起きやすく、かつ学ぶ価値が高いAIデータ入稿のほうです。

項目

AIデータ入稿(完全データ入稿)

PDF入稿

編集自由度

高い。印刷会社側で微調整してもらえる場合がある

低い。入稿後の修正は困難

必要な下処理

フォントのアウトライン化、リンク画像の管理

印刷会社配布のプリセットで書き出し

ファイルサイズ

大きくなりやすい

軽量

環境依存

Mac / Windows 間で差が出ることがある

少ない

トンボ・裁ち落とし

自分で作る

プリセットにより自動付与も可能

たぬきさん自身はAIデータ入稿を基本にしています。印刷会社側で気を利かせた微調整が入る余地が残るため、実務ではこちらのほうが融通が利く場面が多いという理由です。

入稿事故の実例5つ|何が起きて、いくら飛んだか

入稿事故の損害は、刷り直し費用と納期遅延の2つで発生します。ここでは実際に起きた5件を、原因と対策とセットで並べます。

#

事故の内容

発生工程

損害

止める手段

1

開店日の曜日を間違えた

文字校正

刷り直し数十万円規模

原寸プリント+赤ペン

2

写真の下に隠れたゴミ文字

データ整理

クライアントからの指摘

Command + Y

3

色校正を省いて黄色が沈んだ

発注時の合意

仕上がりの品質低下

見積もりに色校正費を計上

4

Web素材で解像度が足りない

素材手配

印刷品質の低下

元データの再手配依頼

5

見出しの大きい文字にタイポ

文字校正

再入稿・納期遅延

大きい文字から校正する

実例1|曜日を間違えて新聞折込チラシが刷り直しに

たぬきさんがデザイナーとしてのキャリアを始めて半年経たない頃、パチンコ店の新聞折込チラシで開店日の曜日を間違えました。札幌市内の広範囲に配布されるチラシで、刷り直しの損失は数十万円規模。当時の支社長からは、仕事で言われるとは思っていなかった言葉をそのままぶつけられたそうです。

日付と曜日は、デザイン上は小さな要素です。それでも、間違えたときの損害はレイアウトの巧拙とは無関係に発生します。

対策:原寸でプリントして、日付・曜日・時間・電話番号・URLに1つずつ赤ペンでチェックを入れる。画面上の目視では止まりません。

実例2|写真の上に隠れていた「ゴミ文字」を客先に指摘された

作業中にテキストをコピー&ペーストすると、意図しない短いテキストが残ることがあります。Illustratorの環境設定で「新規テキストオブジェクトにサンプルテキストを割り付け」が有効だと、テキストツールを一度クリックしただけでダミーテキストが生成されます。

配色が明るいデザインなら気づけますが、暗い背景だと画面上ではまず見つかりません。たぬきはこれをクライアントから指摘された経験があり、以降は入稿前のアウトラインプレビュー確認を手順に組み込んでいます。

対策Command + Y(表示 > アウトライン)。画像がすべて非表示になり、隠れたテキストの輪郭が浮かび上がります。ネット上の入稿ガイドではあまり紹介されていない工程ですが、費用ゼロで効きます。

実例3|色校正を省いたら黄色が沈んだ

NOT受講生が経験した事故です。単価の低い案件で、クライアント側が色校正の必要性を理解しておらず、そのままネット印刷へ入稿。仕上がりの黄色が想定よりくすんで沈みました。色校正を出していなかったため、そこは了承をもらって収束しています。

黄色・緑・青は、RGBの見え方とCMYK印刷の再現域の差が出やすい色です。もち自身も、自分用のリーフレットで色が想定と違って驚いた経験があります。

対策:ブランドカラーが黄色系・蛍光系に寄っている案件は、見積もり段階で色校正費を積む。省く場合は「色は校正なしのため保証しない」と発注前に文面で共有する。

実例4|Web用素材をそのまま印刷に使って解像度が足りない

「素材はウェブサイトから拾ってください」という依頼は珍しくありません。ただ、Web用画像の解像度は印刷品質に届かないことがほとんどです。

対策:たぬきさんの対応は3段階です。第1にクライアントへ元データの再手配を依頼する。第2に、それでも入手できない場合は印刷に耐えるサイズまで小さく配置する。第3に、人物の顔などディテールが問われる用途はフリー素材へ差し替える。

実例5|大きい文字ほど見落とす

NOTメンターが挙げたのは、キャッチコピーなど大きな文字のタイポです。小さい文字は身構えて読むのに、見出しは「読める」状態になっているため脳が校正をスキップします。英語のスペルミスも同様で、もち自身も展示会用の看板でアルファベット表記を打ち間違えた経験があります。

対策:文字校正は小さい文字からではなく、いちばん大きい文字から始める。

入稿前チェックリスト18項目【保存版】

入稿前チェックリストとは、データを渡す直前に機械的に確認する項目群です。以下の18項目は、上の事故5パターンを潰す形で並べています。

#

分類

チェック項目

確認方法

1

サイズ

アートボードが仕上がりサイズと一致

プロパティパネル

2

サイズ

塗り足し3mmが全要素にある

背景・写真・イラストを個別に目視

3

サイズ

トンボが最前面レイヤーにある

レイヤーパネル

4

サイズ

文字とロゴが仕上がりの内側3mmに収まっている

ガイドを引いて確認

5

カラー

カラーモードがCMYK

ファイル > ドキュメントのカラーモード

6

カラー

特色(DIC / PANTONE)が混入していない

ウィンドウ > 分版プレビュー

7

カラー

総インキ量が300%以内

Photoshopの情報パネル

8

文字

全フォントがアウトライン化されている

書式 > フォント検索と置換

9

文字

アウトラインプレビューで隠れテキストを確認した

Command + Y

10

文字

孤立点を削除した

選択 > オブジェクト > 孤立点

11

文字

4pt未満の極小テキストがない

文字パネル

12

文字

原寸プリントして文字校正した

紙と赤ペン

13

画像

リンク切れがない

リンクパネル(赤アイコンの有無)

14

画像

Illustrator上の実効解像度が350ppi前後

リンクパネル下部のPPI表示

15

画像

PSDのレイヤーが統合されている

Photoshopのレイヤーパネル

16

画像

PNGをそのまま配置していない

リンクパネルの拡張子

17

その他

0.3pt未満の線幅がない

線パネル

18

その他

非表示・ロックのオブジェクトがない

Command + Option + 3 で全表示

数値の根拠は、総インキ量300%がラクスルのご利用ガイド、推奨最小線幅0.3pt以上がポスター印刷プリオの解説です。総インキ量が300%を超えると裏うつりや滲みのリスクが上がります。

実務メモ|線幅は0.25ptを下限にして運用してきて、これまで問題は出ていない。ただし定説は0.3ptなので、初めて使う印刷会社では0.3ptを守るほうが安全。

トンボと塗り足し|「効果のトリムマーク」を使ってはいけない

トンボ(トリムマーク)とは、断裁位置を印刷会社に伝えるための目印です。Illustratorには2つの作り方がありますが、入稿で使えるのは片方だけです。

使ってはいけないのが「効果 > トリムマーク」。これはアピアランス上の見た目でしかなく、アウトライン表示にすると実体がないことがわかります。入稿データではオブジェクト > トリムマークを作成を使ってください。

作成したトンボは新規レイヤーに移し、ロックをかけ、最前面に配置します。作業中に触ってずれたトンボのまま入稿されたデータは実際に存在します。また、トンボが他のオブジェクトに隠れていると断裁位置を読み取れず、入稿エラーの原因になります。

塗り足しは、仕上がりサイズの外側3mmまで背景や写真を伸ばす処理です。断裁時のわずかなズレで紙の白が出るのを防ぎます。忘れやすいのは、背景ではなく端に配置した写真やイラストです。

  • 直線的な要素:クリッピングマスクを編集モードで開き、Option(Alt)を押しながら両サイド均等に伸ばす

  • 曲線・斜めのあしらい:伸ばすとラインの角度が変わってしまうため、最初から塗り足し込みのサイズで作図し、気になる場合は上からクリッピングマスクをかける

塗り足し不足はネット印刷の自動チェックで弾かれ、データが差し戻されます。差し戻しはそのまま発送日の遅延に直結するため、デザイン着手時点で塗り足しを前提にした作り方をしておくほうが早いです。

Illustratorのアピアランス自体の扱いに不安がある場合は、イラレのアピアランス入門ガイドを先に読んでおくと、この工程が理解しやすくなります。

画像の解像度とカラーモード|350ppiに「下げる」工程

実効解像度とは、Illustrator上に配置したサイズで換算した実際の解像度です。元画像が高解像度でも、拡大配置すれば実効解像度は下がります。印刷の基準は350ppi前後、大判ポスターはサイズによって200ppi程度でも実用範囲です。

見落とされがちなのが、解像度は過剰でも問題になるという点です。ワークショップで扱ったチラシには2022ppiの画像が配置されていました。ファイルが重くなるだけでなく、グラデーションの出方に影響することもあります。352ppiまで落とす手順は次の通りです。

  1. Illustratorでダイレクト選択ツールを使い、配置サイズ(mm)を確認する

  2. Photoshopで画像を開き、イメージ > 画像解像度Command + Option + I

  3. 単位をミリに切り替え、手順1で測った幅を入力する

  4. 「再サンプル」にチェックが入っていることを確認してOK

  5. イメージ > モード > CMYKカラーに変換

  6. 上書き保存し、Illustratorでリンクを再設定する

この工程は画像1点ずつ行う必要があります。CMYK変換だけならアクション(Functionキー)で省力化できますが、配置サイズの入力は自動化できません。

PSDデータは統合する。ただし透明情報があるときは方法を変える

Photoshopで合成した背景をリンク配置する場合、レイヤーは1枚に統合しておきます。ここに落とし穴があります。

  • 通常の画像:レイヤー > 画像を統合

  • 背景が透明な画像(切り抜き素材など):「画像を統合」を使うと白い背景がついてしまいます。レイヤー > 表示レイヤーを結合、または対象レイヤーを選択して Command + E を使ってください

なお、印刷会社側で色調整をかける案件では、レイヤーを統合しないよう指定されることもあります。塩さんが実際に言われた事例です。パッケージや什器など、ネット印刷以外の発注では発注先に確認するのが確実です。

PNGはPSDに変換してから配置する

PNGはRGBのみに対応した形式で、CMYKに変換できません。JPEGに変換すると透明部分に白背景がつくため、PSD形式で保存し直してCMYKに変換するのが正しい手順です。

実務メモ|QRコードなど白黒のPNGは、そのまま埋め込みで入稿してきたが問題は出ていない。ただし色付きのPNGは埋め込み時に色が変わることがあるため、ロゴのPNG支給は要注意。教科書的に正しいのはPSD変換のほう。

解像度が足りないとき、AIアップスケールは使えるか

Photoshop 2026(27.4)では、Adobe純正のFirefly Upscalerに加えてTopaz GigapixelとTopaz Bloomが統合され、最大約56MPまでのアップスケールに対応しました。消費クレジットはFireflyが1〜9MPで5クレジット、Topaz Gigapixelが25MPまでで10クレジットです。

ワークショップでは600×400pxまで粗くした画像を4倍にかけて実演しましたが、結果は実務投入できる品質ではありませんでした。輪郭は滑らかになるものの、生成由来の質感が明確に出ます。元がある程度の解像度を持っている画像を底上げする用途では有効、破綻した画像の救済としてはまだ厳しいというのが現時点の評価です。

リンクと埋め込みの使い分け|LINKSフォルダの豆知識

リンク画像とは、AIデータの外にある画像ファイルを参照して配置している状態です。埋め込み画像は、AIデータの内部に画像を直接取り込んだ状態を指します。

項目

リンク画像

埋め込み画像

元画像の編集

Photoshopでの修正が自動反映

反映されない

ファイルサイズ

軽い

重い(200〜500MBになることも)

リンク切れ

移動・改名で発生する

発生しない

入稿時の扱い

画像フォルダを同梱する

AIデータ単体で完結

リンクパネルのアイコンは、無印が埋め込み、クリップ形が正常なリンク、赤いアイコンがリンク切れです。リンク切れの状態ではIllustrator上の表示が粗くなります。

ここで覚えておくと得をするのが、Links という名前のフォルダをAIデータと同じ階層に置くと、Illustratorが自動で認識して読み込むという挙動です。頭文字だけ大文字にするのがポイントです。この仕様はパッケージ機能とセットで用意されたもので、Illustrator CC以降のパッケージ実行時に自動生成されます

パッケージ機能(ファイル > パッケージ)は、リンク画像とフォントを1フォルダに自動収集する機能です。ダイアログの「レポートを作成」はチェックを外して構いません。

アウトライン化と孤立点|見えないゴミを消す

孤立点とは、文字も図形も持たないアンカーポイントだけのオブジェクトです。テキストツールでキャンバスを一度クリックしただけで生成され、画面上には何も表示されないため、初心者のデータほど大量に散らばっています。

アウトライン化の手順は次の通りです。

  1. レイヤーパネルですべてのロックを解除する

  2. Command + Option + 3 で非表示オブジェクトをすべて表示し、不要なものを削除する

  3. Command + A で全選択

  4. Command + Shift + O(書式 > アウトラインを作成)

完了確認は書式 > フォント検索と置換で行います。「ドキュメントフォント」欄が空なら完了です。ここに残る場合の原因は3つ、孤立点・透明マスク・Illustratorのバグです。

孤立点の削除は選択 > オブジェクト > 孤立点を実行し、選択された状態で Delete を押すだけです。孤立点が残っていると「アウトライン化されていないフォントがあります」という判定で入稿エラーになる可能性があります。

入稿フォルダの作り方とファイル命名

入稿フォルダとは、AIデータ・完成見本・リンク画像を1つにまとめた提出単位です。命名規則に唯一の正解はありませんが、たぬきの運用は実務でそのまま使える形になっています。

クライアント名_2512_A4チラシ_FIX/
    クライアント名_2512_A4チラシ_1204_OL.ai
    クライアント名_2512_A4チラシ_1204.pdf     ← 完成見本(完見)
    Links/
        写真01.psd
        ロゴ.ai
        QRコード.eps

ファイル名の構成は「クライアント名 + 年月 + 判型 + 最終更新日 + _OL」です。_OL はアウトライン済みを意味します。フォルダ側には終了を意味する _FIX を付け、最後にZIP圧縮して送付またはアップロードします。

ここで最も重要なのは、元データを上書きしないことです。アウトライン化したデータで元データを潰してしまうと、後日「前のチラシを一部だけ差し替えたい」という依頼が来たときに文字を編集できません。たぬきも数年に一度はやってしまうと話しています。入稿用フォルダに複製してから _OL を付ける、という順番を固定してください。

クライアントから支給された元素材は、Links とは別のフォルダで保管します。圧縮・変換を経たデータしか手元にない状態は、再入稿や再利用のときに困ります。

事故を止める4つの仕組み

事故を止める仕組みとは、注意力に依存しないチェック手段のことです。ここまでの18項目を通しても人間の見落としは残るため、環境側で担保します。

  1. 原寸プリントして赤ペンを入れる。文字の大きさ、余白の詰まり具合、色の沈みは画面上では判定できません。コンビニ出力でも効果があります

  2. 別のマシンで開いて確認する。たぬきは印刷費が数十万円規模の案件では、サブのMacにAirDropで送ってから開き直します。リンク切れやフォントの残りは、環境を変えると一発で露呈します

  3. アウトラインプレビュー(Command + Y)を通す。隠れテキストとゴミオブジェクトの検出用です

  4. ネット印刷の自動入稿チェックを通す。ラクスルのスピードチェック入稿などは、細すぎる線・塗り足し不足・アウトライン未処理を自動で解析します。警告が出なければ受付基準は満たしています

画面上での確認精度を上げるショートカットも合わせて使えます。Command + 1 で100%表示(画面上でほぼ原寸)、Command + 0 でウィンドウに合わせた全体表示、Shift + F(または表示 > プレゼンテーションモード)でアートボード外を隠した引きの確認ができます。

限界と注意点

入稿ルールは印刷会社ごとに違います。 この記事の数値(塗り足し3mm、実効解像度350ppi、総インキ量300%、最小線幅0.3pt)は一般的な基準です。実際の判定は発注先の入稿ガイドが優先されるため、初めて使う印刷会社では公式ガイドを先に読んでください。特殊加工や什器・パッケージ系は、ネット印刷の基準がそのまま適用できません。

素材のワークショップには講師の自己流が含まれます。 たぬきさん本人が「学校で体系的に習っていない」と断ったうえで話しており、PNGの埋め込み運用、線幅0.25ptの運用などは定説と食い違います。この記事では該当箇所を「たぬきの実務メモ」として分けて記載し、教科書的な正解を本文側に置いています。どちらを採るかは、案件の規模とリスク許容度で判断してください。

数値を守っても色校正の代わりにはなりません。 色の最終的な出方は、用紙・インキ・印刷方式に依存します。特に黄色系や蛍光色に寄ったデザインは、CMYK値が正しくても仕上がりが想定と離れます。判断が分かれるのは「どこまで色校正費を積むか」で、ここは案件単価との兼ね合いになります。省く場合は、その旨を発注前に文面で共有しておくとトラブルになりません。

よくある質問

Q1. AIデータ入稿とPDF入稿、どちらを選べばいいですか?

初めての印刷会社や、環境依存のトラブルを避けたい案件はPDF入稿が安全です。印刷会社配布のプリセットで書き出すため、トンボや裁ち落としの設定ミスが起きにくくなります。一方、印刷会社側での微調整の余地を残したい案件や、指定がある場合はAIデータ入稿を選びます。まず学ぶべきはAIデータ入稿です。工程を理解していればPDF入稿にも応用できますが、逆は成立しません。

Q2. 塗り足しは何ミリ必要ですか?

一般的には3mmです。背景だけでなく、仕上がり位置に接するすべての写真・イラスト・図形に必要になります。あわせて、文字やロゴは仕上がりの内側3mmに収めてください。ギリギリに配置されたデータは入稿エラーで差し戻されます。意図的に文字を裁ち切る表現をしている場合は、入稿フォームの備考欄に「デザイン上の処理です」と書き添えておくと止まりません。

Q3. 画像を回転させるとPPI表示が下がるのはなぜですか?

Illustratorのリンクパネルが表示するPPIは、回転後のバウンディングボックス(外接する四角形)を基準に再計算された値だからです。画像を30度回転させると外接する四角形は大きくなるため、同じ画像でも表示上の数値が下がります。この挙動の解説にある通り、元画像が劣化しているわけではありません。実効解像度を判定したいときは、いったん水平の状態で数値を確認してください。斜め配置のまま数値を読むと、実態より低く見えます。

Q4. QRコードをPNGでもらった場合はどうしますか?

教科書的に正しいのは、PSD形式に変換してCMYKにしてから配置する方法です。ただし白黒のQRコードのように色情報が単純な画像は、埋め込みで入稿しても実務上は問題が出にくく、たぬきはそのまま埋め込んでいます。注意が必要なのは色付きのPNGロゴです。埋め込み時に色が変わる場合があるため、こちらはPSD変換を推奨します。

Q5. 色校正は毎回出すべきですか?

ブランドカラーが黄色系・緑系・蛍光系に寄っている案件、パンフレットやパッケージなど印刷費が大きい案件は出してください。逆に、単価の低いネット印刷のチラシで毎回出すのは現実的ではありません。省く場合は、発注前に「色校正なしのため、仕上がりの色味は保証範囲外」と文面で合意を取っておくのが実務的な落とし所です。色の事故は、技術ではなく合意形成で防げる部分が大きい領域です。

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