NOT DESIGN SCHOOL(ノットデザインスクール)

駆け出しデザイナーの入稿データ作成の教科書|入稿でつまずく7つの壁

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2026/08/07

📌 この記事のポイント

  • 入稿でつまずく原因は「用語」と「画面に見えないもの」の2つ

  • 塗り足し3mmは「断裁はどうしてもズレる」前提から生まれた仕組み

  • 350ppiは元画像ではなく「配置したあと」の数値で判定する

  • アウトライン化は最後にやる。元データは別名で残す

  • 用語がわかると印刷会社への質問ができるようになる

2026年8月17日更新

入稿でつまずく理由は「用語」と「見えないもの」の2つ

初めての入稿で手が止まる原因は、技術的な難しさではなく、①印刷用語を知らないこと ②画面に表示されないものを扱うこと、の2つに集約されます。塗り足し、総インキ量、実効解像度、孤立点はどれも画面上でそのまま目に見えません。見えないものを確認する方法さえ覚えれば、入稿は難しい作業ではなくなります。

この記事は、NOT DESIGN SCHOOLで開催した入稿データ作成ワークショップを、初めて印刷物を納品する人向けに組み直したものです。講師はNOTメンターのたぬき。北海道札幌市でフリーランスのグラフィックデザイナーとして、チラシ・ポスター・名刺・ロゴ・パッケージ・展示会ブースまで手がけ、専門学校でDTP講師も務めた経験があります。

手順を暗記するのではなく、「なぜそうするのか」がわかる状態を目指します。理由がわかっていれば、印刷会社ごとにルールが違っても自分で判断できるようになります。

まず覚える印刷用語6つ

印刷用語とは、デザイナーと印刷会社が工程を共有するための共通語です。この6つを押さえておくと、印刷会社とのやり取りで詰まらなくなります。

用語

読み

意味

入稿

にゅうこう

そのまま印刷できるデータを次の工程へ渡すこと

校了

こうりょう

修正が終わり、クライアントから最終OKが出た状態

下版

げはん

校了したデータを印刷工程へ送ること。入稿とほぼ同義で使われる

完見(完成見本)

かんけん

仕上がりを確認するためのPDFやJPEG。入稿データに同梱する

色校正

いろこうせい

本刷り前に試し刷りして色を確認する工程。有料

トンボ(トリムマーク)

とんぼ

断裁位置を印刷会社に伝えるための目印

紛らわしいのが「入稿」です。野毛印刷の解説にある通り、クライアントが原稿を制作会社へ渡すことも、制作会社が印刷会社へデータを送ることも、どちらも入稿と呼ばれます。会話に出てきたら「誰から誰へ」を確認するのが安全です。

入稿とは?AIデータ入稿とPDF入稿の違い

Illustratorからの入稿形式は2つあり、どちらを選ぶかで準備する内容が変わります。

項目

AIデータ入稿(完全データ入稿)

PDF入稿

編集自由度

高い。印刷会社側で微調整してもらえる場合がある

低い。入稿後の修正は困難

必要な下処理

フォントのアウトライン化、リンク画像の管理

印刷会社配布のプリセットで書き出し

ファイルサイズ

大きくなりやすい

軽量

環境依存

Mac / Windows 間で差が出ることがある

少ない

トンボ・裁ち落とし

自分で作る

プリセットにより自動付与も可能

難易度

高い(覚えることが多い)

低い

PDF入稿のほうが失敗しにくいのは事実です。それでも最初にAIデータ入稿を学ぶ価値があるのは、工程を理解していればPDF入稿にも応用できるが、逆は成立しないからです。PDF入稿は印刷会社が用意したプリセットに守られている状態で、何が守られているのかを知らないまま使うことになります。

駆け出しがつまずく7つの壁

ここからは、初めて入稿する人が実際に止まるポイントを、理由とセットで1つずつ解きます。

壁1|塗り足し:なぜ3mm外側まで伸ばすのか

塗り足しとは、仕上がりサイズの外側3mmまで背景や写真を伸ばしておく処理です。理由は単純で、裁断機はどうしても微妙にズレるからです。ズレたときに紙の白い断面が出ないよう、あらかじめ余分に色を置いておきます。

初めての人が抜かしやすいのは、背景ではなく端に配置した写真やイラストです。背景は意識しますが、端に寄せた素材は「そこで終わっている」感覚のまま入稿してしまいます。

作り方は要素によって変わります。

  • 直線的な要素:クリッピングマスクをダブルクリックして編集モードに入り、Option(Alt)を押しながら両サイド均等に伸ばす

  • 曲線・斜めのあしらい:伸ばすとラインの角度が変わってしまうため、最初から塗り足し込みのサイズで作図する

同時に覚えるのが、文字とロゴは仕上がりの内側3mmに収めるというルールです。外側3mmは伸ばす、内側3mmは空ける。方向が逆なので混同しやすいところです。

壁2|CMYK:画面の色がそのまま出ない理由

カラーモードとは、色を何で表現するかの方式です。画面はRGB(光の三原色)、印刷はCMYK(インキの4色)で、そもそも表現できる色の範囲が違います。RGBのまま入稿すると、想定と違う色で仕上がります。

初めての人が知らずに事故るのが特色です。DICやPANTONEといった指定色は、CMYK4色とは別のインキを使います。大手企業から支給されたロゴデータには、この特色が含まれていることがあります。気づかず入稿すると差し戻されます。

確認方法はウィンドウ > 分版プレビューです。そのデータで使われている版が一覧表示されるので、C・M・Y・K以外の名前(DIC 216、PANTONEなど)が並んでいたら特色が混入しています。

もう1つが総インキ量です。CMYK各色のパーセンテージを足した合計値で、ラクスルのご利用ガイドでは300%以内が推奨されています。超えると裏うつりや滲みが起きやすくなります。C・M・Y・Kをすべて100%にすると400%になるので、リッチブラックを作るときは注意が必要です。

日常のチラシ制作で神経質になる必要はありませんが、CDのディスク面や雑誌のページなど、媒体によっては厳密に求められます。

壁3|アウトライン化:文字を図形に変える意味

アウトライン化とは、フォント情報を持ったテキストを図形に変換する処理です。印刷会社の環境に同じフォントが入っていなくても、字形や改行位置が変わらなくなります。

手順は Command + A(全選択)→ Command + Shift + O(書式 > アウトラインを作成)です。完了したかどうかは書式 > フォント検索と置換を開き、「ドキュメントフォント」欄が空になっていれば確認できます。

ここでアウトライン化は作業の最後にやるという原則を覚えてください。図形に変換したあとは文字を打ち直せません。後述するファイル命名の話と直結する、入稿でいちばん取り返しのつかないポイントです。

「全選択したのにフォントが残る」場合、原因は3つあります。孤立点、透明マスク、Illustratorのバグです。

孤立点とは、文字も図形も持たないアンカーポイントだけのオブジェクトです。テキストツールでキャンバスを一度クリックしただけで生成され、画面には何も表示されません。経験の浅い人のデータほど大量に散らばっています。選択 > オブジェクト > 孤立点で一括選択して Delete で消せます。

壁4|解像度:350ppiは「元画像」ではなく「配置後」の話

実効解像度とは、Illustrator上に配置したサイズで換算した実際の解像度です。ここが最初の関門になります。元画像が何ピクセルあるかではなく、配置したサイズで何ppiになるかで判定します。

同じ画像でも、小さく配置すれば実効解像度は上がり、大きく引き伸ばせば下がります。リンクパネルの下部に表示されるPPI値がその数値です。基準は350ppi前後、大判ポスターはサイズによって200ppi程度でも実用範囲になります。

意外なのは、解像度は過剰でも問題になるという点です。ワークショップで扱ったチラシには2022ppiの画像が配置されていました。ファイルが重くなるだけでなく、グラデーションの出方に影響することもあります。350ppi前後まで「下げる」手順は次の通りです。

  1. Illustratorでダイレクト選択ツールを使い、画像の配置サイズ(mm)を確認する

  2. Photoshopで画像を開き、イメージ > 画像解像度Command + Option + I

  3. 単位をミリに切り替え、手順1で測った幅を入力する

  4. 「再サンプル」にチェックが入っていることを確認してOK

  5. イメージ > モード > CMYKカラーに変換

  6. 上書き保存し、Illustratorでリンクを再設定する

なお、画像を斜めに回転させるとPPI表示の数値が下がりますが、これは画像が劣化したわけではありません。表示の仕組みの解説にある通り、リンクパネルのPPIは回転後の外接する四角形を基準に再計算されるためです。解像度を判定したいときは水平の状態で数値を読んでください。

解像度が足りない画像しかない場合の対応は3段階です。①クライアントへ元データの再手配を依頼する ②入手できなければ印刷に耐えるサイズまで小さく配置する ③人物の顔などディテールが問われる用途はフリー素材へ差し替える。

Photoshop 2026(27.4)では、Firefly UpscalerとTopaz Gigapixel、Topaz Bloomによる最大約56MPまでのアップスケールが使えます。ただしワークショップで600×400pxの画像を4倍にかけた実演では、生成由来の質感が明確に出て実務品質には届きませんでした。ある程度の解像度がある画像の底上げには有効ですが、破綻した画像の救済としてはまだ厳しいのが現状です。

壁5|リンクと埋め込み:どちらが正解なのか

リンク画像とは、AIデータの外にある画像ファイルを参照して配置している状態です。埋め込み画像は、AIデータの内部に画像を直接取り込んだ状態を指します。

項目

リンク画像

埋め込み画像

元画像の編集

Photoshopでの修正が自動反映

反映されない

ファイルサイズ

軽い

重い(200〜500MBになることも)

リンク切れ

移動・改名で発生する

発生しない

入稿時の扱い

画像フォルダを同梱する

AIデータ単体で完結

リンクパネルのアイコンの読み方も覚えておくと便利です。無印が埋め込み、クリップ形が正常なリンク、赤いアイコンがリンク切れです。リンク切れの状態ではIllustrator上の表示が粗くなります。

指定がなければリンクを選ぶのが基本です。たぬきもリンクのまま入稿しています。ただし印刷会社によっては埋め込みを求められるため、入稿ガイドを確認してください。

初心者に役立つのが Links フォルダの仕様です。Links という名前のフォルダをAIデータと同じ階層に置くと、Illustratorが自動で認識して読み込みます。 頭文字だけ大文字にするのがポイントです。この仕様はパッケージ機能とセットで用意されたもので、Illustrator CC以降のパッケージ実行時に自動生成されます

画像を集める作業は手動でやる必要はありません。ファイル > パッケージを実行すれば、リンク画像とフォントが1フォルダに自動収集されます。ダイアログの「レポートを作成」はチェックを外して構いません。

壁6|PSDとPNG:透明が絡むと事故る

Photoshopで作った画像をIllustratorに配置する場合、レイヤーは1枚に統合しておきます。ここに初心者が引っかかる分岐があります。

  • 通常の画像:レイヤー > 画像を統合

  • 背景が透明な画像(切り抜き素材など):「画像を統合」を使うと白い背景がついてしまいます。レイヤー > 表示レイヤーを結合、または対象レイヤーを選択して Command + E を使ってください

もう1つがPNGです。PNGはRGBのみに対応した形式で、CMYKに変換できません。かといってJPEGに変換すると透明部分に白背景がつきます。正しい手順は、PSD形式で保存し直してCMYKに変換することです。

実務メモ|QRコードなど白黒のPNGは、そのまま埋め込みで入稿してきたが問題は出ていない。ただし色付きのPNGは埋め込み時に色が変わることがあるため、ロゴのPNG支給は要注意。教科書的に正しいのはPSD変換のほう。

なお、印刷会社側で色調整をかける案件では、逆にレイヤーを統合しないよう指定されることもあります。NOTメンターの塩さんが実際に言われた事例です。ネット印刷以外の発注では、発注先に確認するのが確実です。

壁7|ファイル命名:元データを守る作法

入稿データを作るとき、デザインデータをそのまま加工してはいけません。アウトライン化した時点で文字が編集できなくなるため、後日「前のチラシを一部だけ差し替えたい」と言われても対応できなくなります。

正しい順番はこうです。

  1. 案件フォルダの中に「入稿」または「下版」フォルダを作る

  2. デザインデータ(.ai)と完成見本(.pdf)をコピーする

  3. コピーしたAIデータの末尾に _OL を付ける(アウトライン済みの意味)

  4. _OL のデータでアウトライン化などの作業を行う

たぬきも数年に一度はこの手順を飛ばしてしまうと話しています。経験の長さでは防げない種類のミスなので、「複製してから _OL」を固定の作法にしてください。

入稿データフォルダの作り方

入稿フォルダとは、AIデータ・完成見本・リンク画像を1つにまとめた提出単位です。

クライアント名_2512_A4チラシ_FIX/
    クライアント名_2512_A4チラシ_1204_OL.ai
    クライアント名_2512_A4チラシ_1204.pdf     ← 完成見本(完見)
    Links/
        写真01.psd
        ロゴ.ai
        QRコード.eps

ファイル名は「クライアント名 + 年月 + 判型 + 最終更新日 + _OL」、フォルダ名には終了を意味する _FIX を付けます。最後にZIP圧縮して送付またはアップロードします。

クライアントから支給された元素材は、Links とは別のフォルダで保管してください。圧縮・変換を経たデータしか手元にない状態は、再入稿や再利用のときに困ります。

入稿前チェックリスト18項目

入稿前チェックリストとは、データを渡す直前に機械的に確認する項目群です。7つの壁を通過したあと、この18項目で最終確認します。

#

分類

チェック項目

確認方法

1

サイズ

アートボードが仕上がりサイズと一致

プロパティパネル

2

サイズ

塗り足し3mmが全要素にある

背景・写真・イラストを個別に目視

3

サイズ

トンボが最前面レイヤーにある

レイヤーパネル

4

サイズ

文字とロゴが仕上がりの内側3mmに収まっている

ガイドを引いて確認

5

カラー

カラーモードがCMYK

ファイル > ドキュメントのカラーモード

6

カラー

特色(DIC / PANTONE)が混入していない

ウィンドウ > 分版プレビュー

7

カラー

総インキ量が300%以内

Photoshopの情報パネル

8

文字

全フォントがアウトライン化されている

書式 > フォント検索と置換

9

文字

アウトラインプレビューで隠れテキストを確認した

Command + Y

10

文字

孤立点を削除した

選択 > オブジェクト > 孤立点

11

文字

4pt未満の極小テキストがない

文字パネル

12

文字

原寸プリントして文字校正した

紙と赤ペン

13

画像

リンク切れがない

リンクパネル(赤アイコンの有無)

14

画像

Illustrator上の実効解像度が350ppi前後

リンクパネル下部のPPI表示

15

画像

PSDのレイヤーが統合されている

Photoshopのレイヤーパネル

16

画像

PNGをそのまま配置していない

リンクパネルの拡張子

17

その他

0.3pt未満の線幅がない

線パネル

18

その他

非表示・ロックのオブジェクトがない

Command + Option + 3 で全表示

推奨最小線幅0.3pt以上の根拠はポスター印刷プリオの解説です。これより細いと印刷時に線が飛んだり潰れたりします。極小テキストも同様で、たぬきは4pt未満にしない運用にしています。

トンボはオブジェクト > トリムマークを作成で作ります。「効果 > トリムマーク」で作ったものはアピアランス上の見た目でしかなく、実体がないため入稿には使えません。作成後は新規レイヤーに移してロックをかけ、最前面に配置してください。

最初の1回でやりがちな失敗3つ

入稿の失敗とは、刷り直し費用と納期遅延として跳ね返るミスのことです。ワークショップで共有された実例から、駆け出しの時期に起きやすいものを3つ挙げます。

1つ目は、原寸プリントを省いて日付や曜日を間違えること。 たぬきはキャリア半年未満の頃、パチンコ店の新聞折込チラシで開店日の曜日を間違え、数十万円規模の刷り直しになりました。日付・曜日・時間・電話番号・URLは、紙に出して赤ペンで1つずつ潰してください。画面上の目視では止まりません。

2つ目は、隠れたテキストに気づかないこと。 作業中のコピー&ペーストで、意図しない短いテキストが写真の下に残ることがあります。Illustratorの環境設定で「新規テキストオブジェクトにサンプルテキストを割り付け」が有効だと、テキストツールを一度クリックしただけでダミーテキストが生成されます。たぬきはこれをクライアントから指摘された経験があり、以降は Command + Y(アウトラインプレビュー)を入稿前の手順に組み込んでいます。

3つ目は、大きい文字のタイポ。 NOTメンターの塩さんが挙げた失敗で、小さい文字は身構えて読むのに、見出しは「読める」状態のため脳が校正をスキップします。もち自身も展示会用の看板でアルファベット表記を打ち間違えた経験があります。文字校正は、いちばん大きい文字から始めてください。

入稿費が大きい案件では、たぬきはサブのMacにデータをAirDropして開き直しています。リンク切れやフォントの残りは、環境を変えると露呈します。また、ラクスルのスピードチェック入稿のような自動チェックを通すと、細すぎる線・塗り足し不足・アウトライン未処理を機械が判定してくれます。

作った印刷物がどんな仕上がりになるかは、生徒のチラシ・ポスター作品も参考にしてください。

限界と注意点

入稿ルールは印刷会社ごとに違います。 この記事の数値(塗り足し3mm、実効解像度350ppi、総インキ量300%、最小線幅0.3pt)は一般的な基準です。実際の判定は発注先の入稿ガイドが優先されるため、初めて使う印刷会社では公式ガイドを先に読んでください。特殊加工や什器・パッケージ系は、ネット印刷の基準がそのまま適用できません。

素材のワークショップには講師の自己流が含まれます。 たぬき本人が「学校で体系的に習っていない」と断ったうえで話しており、PNGの埋め込み運用、線幅0.25ptの運用などは定説と食い違います。この記事では該当箇所を「たぬきの実務メモ」として分けて記載し、教科書的な正解を本文側に置いています。どちらを採るかは、案件の規模とリスク許容度で判断してください。

用語と手順を覚えても、色の再現までは保証できません。 色の最終的な出方は、用紙・インキ・印刷方式に依存します。特に黄色系や蛍光色に寄ったデザインは、CMYK値が正しくても仕上がりが想定と離れます。NOT受講生にも、単価の低い案件で色校正を省いて黄色が沈んだ事例があります。判断が分かれるのは「どこまで色校正費を積むか」で、省く場合は発注前に文面で共有しておくとトラブルになりません。

よくある質問

Q1. 最初の1本はPDF入稿とAIデータ入稿、どちらで練習すべきですか?

納品が絡まない練習ならAIデータ入稿です。工程を理解していればPDF入稿にも応用できますが、逆は成立しません。ただし、初めての印刷会社に実案件を納品するなら、その1本はPDF入稿を選んで安全側に倒すのも妥当な判断です。印刷会社配布のプリセットで書き出せば、トンボや裁ち落としの設定ミスが起きにくくなります。

Q2. 塗り足しは何ミリ必要ですか?

一般的には3mmです。背景だけでなく、仕上がり位置に接するすべての写真・イラスト・図形に必要になります。混同しやすいのですが、文字やロゴは逆に仕上がりの内側3mmに収めます。外側は伸ばす、内側は空ける、と覚えてください。意図的に文字を裁ち切る表現をしている場合は、入稿フォームの備考欄に「デザイン上の処理です」と書き添えておくと止まりません。

Q3. レイヤーはどう分ければいいですか?

たぬきは背景(BG)・その他すべて・トンボの3レイヤーで運用しています。写真・アイコン・テキスト・あしらいで細かく分ける人もいますが、自分が作業しやすい最小限で構いません。ただし、データを他の人に渡す予定があるなら「レイヤー1」のままにせず、誰が見てもわかる名前を付けてください。入稿データとして重要なのは分け方の細かさではなく、非表示レイヤーとロックが残っていないことです。

Q4. 「孤立点」は何が原因でできるのですか?

テキストツールでキャンバスをクリックしただけで文字を入力しなかったとき、アンカーポイントだけが残ります。Illustratorの環境設定で「新規テキストオブジェクトにサンプルテキストを割り付け」がオフになっていると発生しやすくなります。画面には何も表示されないため自覚できませんが、選択 > オブジェクト > 孤立点を実行すると一括で選択でき、Delete で消せます。入稿前に一度実行するのを習慣にしてください。

Q5. 色校正は毎回出すべきですか?

ブランドカラーが黄色系・緑系・蛍光系に寄っている案件、パンフレットやパッケージなど印刷費が大きい案件は出してください。逆に、単価の低いネット印刷のチラシで毎回出すのは現実的ではありません。省く場合は、発注前に「色校正なしのため、仕上がりの色味は保証範囲外」と文面で合意を取っておくのが実務的な落とし所です。色の事故は、技術ではなく合意形成で防げる部分が大きい領域です。

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