NOT DESIGN SCHOOL(ノットデザインスクール)

ロゴデザインのアイデア出し完全ガイド|テキスト発散とラフスケッチで広げる発想法

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2026/05/08

「ロゴデザインの方向性は決まったけど、アイデアが浮かばない」「キーワードはあるのに、どう形にすればいいか分からない」。駆け出しデザイナーがロゴ案件で必ずぶつかる壁が「アイデア出し」です。

本記事では、プロが実践する「テキスト発散 × ラフスケッチ」の2軸アプローチを、駆け出しデザイナー目線で具体例とともに徹底解説します。

📺 ウェビナー動画でも解説しています(55分)

NOT DESIGN SCHOOLグラフィックコース・リードのSIO氏(グラフィックデザイナー歴20年以上)が登壇したウェビナーから、万博ロゴの実例も交えながらアイデア出しの実践テクニックをまとめました。


ロゴデザインのアイデア出しとは?

ロゴデザインのアイデア出しは、ヒアリングとリサーチで集めた情報を、形のあるデザインに変換する工程です。前のステップ(受注・ヒアリング・リサーチ)で得た情報を素材として、具体的なビジュアルアイデアに落とし込んでいきます。

📎 関連:ロゴデザインの制作工程・実務ロードマップ|初案件で失敗しない7ステップ実務ガイド

アイデア出しが難しい3つの理由

駆け出しデザイナーがアイデア出しでつまずく理由は明確です。

#

理由

なぜ起こるか

1

1個目で完璧を求める

「いいアイデアを出さなきゃ」というプレッシャー

2

視点が1つしかない

言葉だけor絵だけで考えてしまう

3

デザインツールに早く向かいすぎる

Figma・Illustratorでアイデアを考えようとする

これらを解消するのが、「テキスト発散 × ラフスケッチ」の2軸アプローチです。


アイデア出しの2軸|テキスト発散とビジュアル

SIO氏のウェビナーでは、アイデア出しを2つの軸を行き来しながら進めると整理されています。

内容

入り口

テキスト発散

キーワードから連想を広げる

ヒアリング情報から自然に始められる

ラフスケッチ

手書きで形を試す

文字から書き始めても、抽象的な形から書き始めてもOK

どちらが先か?

基本はテキスト発散が先です。なぜなら、ヒアリングやコンセプトはすべて言葉で受け取るため、最初に言語のレイヤーで広げる方が自然だからです。

ただし、ラフスケッチを書きながらキーワードを後付けで考える流れも有効です。何となく描いた形に「これは○○を表現できそう」と意味付けする発想法も、プロは普通に使います。どちらか1軸ではなく、両方を行き来しながら進めるのがコツです。


アプローチ1|テキスト発散(キーワード連想ゲーム)

最初の入り口として最もやりやすいのが、キーワードを連想ゲーム的に広げていく方法です。

やり方の3ステップ

Step 1|与えられたキーワードをバラす

ヒアリングやコンセプトから出てくるキーワードを、まず単語レベルでバラします。

Step 2|各キーワードから連想を広げる

各キーワードを起点に、思いつくものをどんどん書き出していきます。

例:「大阪」というキーワードからの連想

  • 道頓堀

  • たこ焼き

  • 千成びょうたん

  • 通天閣

  • おばちゃん

  • 商人文化

例:「実験場」というキーワードからの連想

  • 研究者

  • ビーカー

  • フラスコ

  • 試験管

  • 爆発

  • 顕微鏡

Step 3|デザインモチーフになりそうなものを抽出

連想で広がった単語の中から、ビジュアルに変換できそうなモチーフを抽出します。

このフェーズで重要な3つのポイント

  • 深く考えず、思いついたものを全部書き出す

  • 質より量を優先(後で絞ればいい)

  • 「これは違うかも」と判断しない(自己検閲がアイデアの幅を狭める)


アプローチ2|ラフスケッチ(手書きで量を出す)

テキスト発散と並行して、紙とペンで形を書き出していきます。いきなりデザインツールには向かわないのがポイント。

スケッチの始め方

起点

内容

アルファベット文字から

名称が決まっていれば、文字をベースに書き始める

抽象モチーフから

連想で出てきたモチーフを単純な図形で書く

両方の組み合わせ

文字+図形のロックアップを試す

スケッチで意識すべきこと

  • 20〜30個書く(量を出す)

  • クオリティは無視(あとで絞る)

  • 失敗は前提(90%は使わないアイデア)

なぜ手書きから始めるのか

デザインツール(Figma・Illustrator等)から始めると、ツールの制約や画面サイズに思考が引っ張られるため、表現の幅が狭まります。手書きは「自由度の最大化」のために有効です。


万博ロゴの実例|テキスト×スケッチで作られたデザイン

SIO氏が実際に2025年大阪・関西万博ロゴのコンペに応募した時の事例です。

与えられたキーワード

  • 「大阪・関西万博」

  • 「命輝く未来社会のデザイン」(メインテーマ)

  • 「未来社会の実験場」(コンセプト)

テキスト発散で出てきたモチーフ

キーワード

連想

大阪

千成びょうたん(豊臣秀吉ゆかり)、道頓堀、たこ焼き

実験場

丸コフラスコ、ビーカー、研究者

未来

円・球体(地球)、光、交差

細胞、心臓、種、芽

モチーフの掛け合わせ

SIO氏が選んだのは、「千成びょうたん」×「丸コフラスコ」の掛け合わせでした。

  • 千成びょうたん = 大阪らしさ

  • 丸コフラスコ = 実験場らしさ

  • 組み合わせ = 「大阪で行われる実験場」を1つの図形で表現

このように、異なるキーワードから抽出した2つのモチーフを組み合わせるのが、ロゴの典型的な発想パターンです。


アイデア出しの3段階(発散→絞込→精緻化)

アイデア出しのフェーズは、3段階に分けて進めます。

段階

やること

ポイント

発散期(最初)

とにかく数を出す(20〜30個)

質より量、自己検閲しない

絞込期

目ぼしいアイデアを3〜5個選ぶ

クライアント目線で選ぶ

精緻化期

デザインツールで仕上げる

ここで初めてFigma等を使う

各段階の時間配分の目安

ロゴ案件全体を10とすると:

  • 発散期:3〜4

  • 絞込期:1

  • 精緻化期:3〜4

  • その他(ヒアリング・調整・納品):2〜3

発散期に最も時間をかけるのがプロのリズムです。


デザインツールに着手するタイミング

「いつFigmaやIllustratorを開くか」は、駆け出しデザイナーが最も間違えやすいポイントです。

NGなタイミング

  • ヒアリング直後

  • キーワード発散の前

  • スケッチを書く前

→ ツールを開くと「綺麗に作ろう」というモードになり、自由な発想ができなくなります

OKなタイミング

  • ラフスケッチで20〜30個書いた後

  • 目ぼしいアイデアが3〜5個に絞れた後

  • 「これを精緻化したい」と決めた後

→ ツールは「形を整える」段階で初めて使うのが正解です。

よくある失敗

駆け出しがやりがちなのは、ヒアリングのメモを取りながら同時にFigmaに何かを描き始めること。これだと、最初に思いついたアイデアに引きずられて、発想の幅が一気に狭まります。


校長の見解:駆け出しが「アイデア浮かばない」を抜け出す3つの方法

NOT DESIGN SCHOOLの校長として、200人以上の駆け出しデザイナーを見てきた立場から、「アイデアが浮かばない」状態を抜け出す方法を3つお伝えします。

方法1|「いいアイデア」より「まず量」のマインド

駆け出しがアイデア出しで止まる最大の原因は、1個目から完璧を求めてしまうこと。「これは違う」「これもダメ」と頭の中で却下してしまい、結果的に何も書き出せません。

20〜30個出すまでは質を完全に捨てるくらいでちょうどいい。後で絞れば良いだけなので、発散期は判断を一切持ち込まないことが鉄則です。

方法2|日常から引き出しを増やす習慣

アイデアは「案件が来てから探す」ものではなく、日常的に蓄積した引き出しから引っ張り出すもの。引き出しが空っぽの状態でアイデアを出そうとしても無理があります。

具体的には:

  • 街中のロゴを意識的に観察する

  • Pinterestで業界別のロゴを保存する習慣

  • デザイン本を月1冊は読む

引き出しが多いほど、アイデア出しのスピードと質が上がります。

方法3|1人で抱え込まず他人に相談する勇気

駆け出しデザイナーは「自分で考えなきゃ」と抱え込みがちですが、プロでも複数人で意見を出し合うのが普通です。

「このアイデアどう思う?」とチームメンバーや先輩に聞ける環境を作ると、自分1人では出てこなかった視点が得られます。「相談できないデザイナー」は伸びにくいというのが、長年見てきての実感です。


限界と注意点:いいアイデアが必ず出るわけじゃない

正直にお伝えしたい注意点を3つ整理しました。

1. 完璧を求めすぎると手が止まる

「もっと良いアイデアがあるはず」と止まり続けると、結局1個も出せず時間切れになります。60点でいいから書き出すを徹底することが、アイデア出しの鉄則です。

2. 他人のアイデアに似すぎないよう常に類似チェック

参考事例を見すぎると、無意識にコピーになることがあります。Pinterestで集めた事例の影響は意外と強く、「自分のアイデア」だと思っていたものが実は他人の作品の影響だった、ということも。

📎 関連:ロゴデザインの制作工程|初案件で失敗しない7ステップ実務ガイド(リサーチで類似チェック)

3. テキスト×スケッチの2軸アプローチが万能ではない

本記事で紹介した「テキスト発散 × ラフスケッチ」は王道ですが、全員に最適な方法ではありません

人によって:

  • マインドマップで広げるほうが向いている

  • オズボーンのチェックリスト(9つの問い)が合っている

  • いきなり手で描き始めるほうがしっくりくる

など、思考スタイルが違います。いくつか試して、自分に合う方法を見つけるのが大切です。


よくある質問(FAQ)

Q1. アイデアは何個出せば十分ですか?

最低でも20個、可能なら30〜50個が目安です。少なすぎると「これしかない」と1つに執着してしまい、客観的に選べなくなります。

Q2. 手書きが苦手な場合は?

絵が下手でも問題ありません。「自分が後で見て分かる程度のメモ」で十分です。下手な絵でも、コンセプトを表現できていれば、精緻化フェーズで美しく仕上げられます。

Q3. アイデアが煮詰まった時はどうすれば?

一度離れることが効果的です。

  • 散歩する・別の作業をする

  • 寝る(翌日見直すと客観視できる)

  • 別ジャンルのデザインを見る

意図的に「考えない時間」を作るのもアイデア発想のテクニックです。

Q4. デザインツール(Figma等)を使い始めるタイミングは?

目ぼしいアイデアが3〜5個に絞れた後が目安です。それより前に使うと、発想の幅が狭まります。


まとめ:アイデアは「量」と「2軸の行き来」から生まれる

ロゴデザインのアイデア出しは、「いいアイデアを1個出す」のではなく「量を出して後で絞る」プロセスです。

  • テキスト発散でキーワードから連想を広げる

  • ラフスケッチで手書きで形を試す

  • 両方を行き来しながら20〜30個書き出す

  • 絞り込んでからデザインツールに向かう

特に駆け出しデザイナーは、「1個目で完璧を求めない」「質より量」のマインドが何より大切です。本記事のアプローチを試して、初案件のアイデア出しに活用してみてください。

📎 関連記事:

次回は「ロゴデザインのヒアリング・修正対応の実務」を解説予定です。

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