NOT DESIGN SCHOOL(ノットデザインスクール)

提案書の作り方6ステップ|通るデザイン提案のテンプレート配布

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2026/09/09

📌 この記事のポイント

  • 提案書は6ステップの順番どおりに組むと通りやすい

  • ビジュアルは5番目。1枚目に出すと好みの話になる

  • 要件定義はヒアリングシート6項目で埋める

  • 小規模案件は各ステップ1枚、合計6枚に圧縮する

  • 最後のスケジュールが相手の安心材料になる

2026年9月6日更新

提案書は「いきなり見せない」6ステップで通る

通るデザイン提案書とは、要件定義・リサーチ分析・課題理解・コンセプト・ビジュアル提案・スケジュールの6ステップを、この順番どおりに並べた資料です。順番自体が説得の装置になっていて、前半5ステップが「なぜこのデザインなのか」の伏線になり、ビジュアルでそれを回収します。

いちばん多い失敗は、1枚目からデザイン案を見せることです。判断材料がない状態で絵を見せられた相手は、好きか嫌いかでしか答えられません。「なんか違う」という反応は、ほとんどが順番の問題です。

デザイン提案書の基本6構成(要件定義→リサーチ・分析→課題理解→コンセプト→ビジュアル提案→スケジュール)

参考動画:【デザインは伝え方が9割】絶対にクライアントに伝わる提案書の型【後編】【前編】(NOT DESIGN SCHOOL、2026年9月1日公開)

ステップ

章の役割

ここで相手に起こしたい反応

1 要件定義

ゴールと前提の一致

認識は合っている

2 リサーチ分析

現状の理解と根拠づくり

よく調べている

3 課題理解

解くべき問題の特定

たしかにそこが問題だ

4 コンセプト

解決の方向性を言葉で

その方針なら納得できる

5 ビジュアル提案

方向性を形にする

あの課題を解くとこうなるのか

6 スケジュール

実現までの道筋

これなら進められそう

ステップ1|要件定義でゴールと前提をそろえる

要件定義とは、プロジェクトのゴールと前提条件について、相手と自分の認識を一致させる作業です。ここがずれていると、後の5ステップがまとめて無駄になります。制作物を売上向上のために作るのか、ブランドの認知のために作るのか、採用応募を増やすために作るのかで、正解のデザインは変わります。

ステップ1 要件定義:ゴール・ターゲット層・ブランド要件・納期と予算

要件が渡されていない案件では、ヒアリングで埋めます。事前にシートを用意しておくと、その場で聞き漏らしが減ります。

項目

具体的に聞くこと

プロジェクトの概要

制作の目的(売上/認知/採用/その他)

ターゲット

性別、年齢、職業、居住地、興味関心

メッセージ

一番伝えたいことは何か

デザインの方向性

希望するトーン、参考にしたい事例

ビジュアル素材

使える写真・イラスト・ロゴ・データの有無

予算と納期

上限と、動かせない締切

チラシ・ポスター制作のヒアリングシート例

クライアント自身が課題に気づいていない場合もあります。 「なぜこのデザインが必要なのか」を一段深く掘る質問をその場で足してください。もちが見ていると、着手前のこのすり合わせにかけた時間の長さが、そのまま提案の通りやすさに出ています。

ステップ2|リサーチ分析で判断の根拠を作る

リサーチ分析とは、後のコンセプトとビジュアルを支える根拠を集める工程です。ここで集めた事実が、提案の中で「だからこうしました」と言うときの土台になります。調べる対象は4つに分けると抜けが出ません。

ステップ2 リサーチ分析:ユーザー分析・競合分析・業界トレンド・ユーザビリティ評価

調査対象

見るポイント

提案書での使い道

ユーザー

行動パターン、困りごと、心理、使用デバイス

ターゲット像の裏付け

競合

UI・ブランド表現の特徴、差別化できる点

表現の方向を決める材料

業界トレンド

主流のデザイン手法、表現の傾向

提案の同時代性の説明

既存サイト・アプリの評価

使いにくい箇所、離脱しそうな導線

課題の抽出元

既存サイトの評価は、感想でなく既存の評価軸に沿って並べると説得力が出ます。Nielsen Norman Groupが公開しているユーザビリティの10原則(1994年公開、2020年更新)を項目立てに使うと、指摘の抜けが減ります。

調査結果を提案書に載せるときは、文章で並べずに図やグラフに変換します。本編に置くのは判断に使う数字だけで、詳細な分析資料は巻末か別添にまとめるのがすっきりします。データの見せ方はデザイン提案の説明術|感覚の言葉を根拠に変える言い換え20例で扱っています。

ステップ3|課題理解で「解くべき問題」を1つに絞る

課題理解とは、リサーチで見えた現状から、今回のデザインで解決するポイントを特定する工程です。ここを書かずにコンセプトへ進むと、提案が「やりたいことの説明」になります。

ステップ3 課題理解:情報構造・ブランド表現・操作性・共感設計の課題

課題は種類を分けると言語化しやすくなります。

課題の種類

症状の例

情報構造の課題

探している情報にたどり着けない、階層が深い

ブランド表現の課題

印象が弱い、競合と見分けがつかない

操作性の課題

入力が面倒、次の行動が分からない

認知の課題

そもそも見られていない、離脱が早い

操作性の課題を指摘するときは、数値で言える部分は数値にします。たとえば文字と背景の色の組み合わせは、W3CのアクセシビリティガイドラインWCAG 2.2で通常サイズの文字に最低4.5対1のコントラスト比が求められています(達成基準1.4.3)。基準を満たしていない箇所は、好みではなく不備として指摘できます。

課題は3つ以上並べないほうが通ります。 全部を解こうとする提案は、予算と期間の見積もりが現実離れしやすく、相手にとっても優先順位が分かりません。

書き方の型は「現状+そのせいで起きていること」です。「トップページの導線が多い」で止めず、「トップページに導線が12本あり、初めて訪れた人が最初に押す場所を決められない」まで書くと、次のコンセプトが自然につながります。

ステップ4|コンセプトは言葉だけで示す

コンセプトとは、特定した課題をどの方向で解決するかを言葉で定義したものです。この段階ではまだビジュアルを出しません。ここで方向性の合意を取っておくと、次のビジュアル提案が「合意ずみの方針の具体化」として受け取られます。

ステップ4 コンセプト:表現指針・体験の軸・情報設計

コンセプトに書くのは次の3点です。

  1. どんな体験を作るのか:訪問者に何を感じてほしいか

  2. どんな表現を選ぶのか:写真中心か、図解中心か、余白を広く取るか

  3. なぜそれが課題の解決になるのか:ステップ3との接続

言葉だけのスライドが続くと不安になりますが、ここで絵を出すと議論が好みに戻ります。もち自身は、コンセプトのページで相手が首を縦に振るまではビジュアルを開かないようにしています。

ステップ5|ビジュアル提案で伏線を回収する

ビジュアル提案とは、コンセプトを具体的な形にして見せる工程です。ここまでの積み上げがあると、相手の反応は「好きかどうか」から「課題が解けているかどうか」に変わります。

ステップ5 ビジュアル提案:全体トーン・キービジュアル・レイアウト・展開例

載せる要素は次の4つで足ります。

  1. 全体のデザイン:コンセプトを反映した印象の設計

  2. キービジュアル:世界観とメッセージを象徴する1枚

  3. レイアウト:主要ページの構成

  4. 展開例:他ページや別媒体に広げたときの見え方

各案には、コンセプトのどの部分を形にしたのかを1行添えます。「洗練された印象にしました」ではなく「◯◯という課題に対して、視線をタイトルから申し込みボタンへ誘導する構成にしました」と書けると、説明が判断材料になります。

ステップ6|スケジュールで安心感を作る

スケジュールとは、提案後の進め方を示して「これなら実現できそうだ」と思ってもらうための章です。分量は多くありません。1枚か2枚で足ります。

ステップ6 スケジュール:フェーズ設計・アウトプット定義・レビューと合意・進行管理

記載項目

書く内容

各フェーズの設計

制作から納品・公開までの全体プロセス

アウトプットの定義

各フェーズで何を提出するか

レビューと合意のプロセス

確認方法、修正の回数と流れ

進行管理

進捗の共有方法と頻度

修正の回数と流れをここで明示しておくと、後半の消耗が減ります。株式会社日本デザインが2026年1月14日に公表したWEBデザイナー110名への調査では、AI活用による変化として「修正回数が減った」と答えた人が63.2%でした(調査リリース)。手戻りが減っている前提でも、回数の取り決めは先に置いておくほうが安全です。

スケジュールを付けた提案と付けない提案では、決裁の通りやすさが変わると、もちは感じています。判断する人にとっては、実現できるかどうかが最後の関門になるためです。

コピペで使える提案書テンプレート

そのまま使える章立てのテンプレートです。スライドの見出しとして貼り付け、中身を案件の情報で置き換えてください。

01 プロジェクトの目的
    ・ゴール:(売上/認知/採用/その他)
    ・ターゲット:(年齢・職業・状況)
    ・成功の指標:(何がどうなれば成功か)

02 前提条件
    ・予算/納期/使用できる素材
    ・既存のブランド規定(トーン&マナー、カラー、フォント)

03 リサーチ
    ・ユーザー:行動と困りごと
    ・競合3社:表現の特徴と差別化できる点
    ・業界トレンド:現在主流の表現

04 課題
    ・課題1:(情報構造/ブランド表現/操作性/認知)
    ・課題2:
    ・今回優先して解決するもの:課題◯

05 コンセプト
    ・ひとことで言うと:
    ・作る体験:
    ・選ぶ表現:
    ・課題との接続:

06 デザイン提案
    ・キービジュアル
    ・主要ページのレイアウト
    ・各案の根拠(1案につき1行)
    ・展開例

07 スケジュール
    ・フェーズと期間
    ・各フェーズの提出物
    ・確認方法と修正回数

案件の規模によって枚数を変えます。順番は変えません。

案件規模

想定枚数

圧縮のしかた

バナー・単発の制作

6枚前後

各ステップを1枚ずつ

LP・小規模サイト

12枚から18枚

リサーチとビジュアルを厚くする

サイトリニューアル・コンペ

25枚以上

課題とコンセプトを厚くし、詳細は巻末へ

ヒアリングシートは、ステップ1の表をそのまま質問リストとして使えます。打ち合わせ前に相手へ送っておくと、当日の密度が上がります。

6枚に圧縮した例|キャンペーンバナー1本の提案

小規模案件で6ステップを1枚ずつに畳むと、次のようになります。

見出し

載せる中身

1

今回の目的

期間限定キャンペーンの申し込み数を増やす。指標はクリック率

2

前提

掲載面はInstagramのフィード、素材は既存の商品写真、納期は10日後

3

現状

既存バナー3本を並べ、文字量と訴求点のばらつきを指摘

4

課題

情報が多く、何が得なのかが1秒で分からない

5

方針とデザイン案

訴求を1つに絞る方針と、その形にした案を2案

6

進め方

初稿、修正2回、入稿までの日程

3枚目と4枚目を省くと、5枚目の案が「なんとなく作ったもの」に見えます。 1行でもいいので、現状と課題は残してください。

各ステップでつまずきやすい箇所

ステップ

よくある失敗

直し方

1 要件定義

目的を聞かずにトーンの話から入る

目的、ターゲット、指標の3つを先に埋める

2 リサーチ

調べた量をそのまま載せる

判断に使った数字だけ本編に残す

3 課題

課題を5つ以上並べる

今回解く1つを明示する

4 コンセプト

抽象的なコピーで終わる

課題の文と接続する1行を足す

5 ビジュアル

案を3案以上出す

推奨案を1つ決めて理由を書く

6 スケジュール

日付だけ並べる

提出物と確認方法を添える

限界と注意点

この6構成は、相談ベースの提案や既存クライアントへの提案を前提にしています。 コンペや短納期のスピード提案では、前半を圧縮する判断が必要になります。その場合でも要件と課題は残し、リサーチの詳細を巻末に回す形が現実的です。

スケジュールは確定として出さないでください。 提案時点では先方の確認速度も素材の到着時期も読めません。前提条件を書き添えたうえで、目安として提示するのが安全です。ここを断言して出すと、遅延の責任が制作側に寄ります。

テンプレートは埋めることが目的ではありません。 項目を機械的に埋めた提案書は、読むと空欄が透けます。書けない項目があるなら、それはヒアリングが足りていないサインとして扱ってください。

よくある質問(FAQ)

提案書は何枚くらいが適切ですか?

案件規模によります。単発の制作なら6枚前後、LPや小規模サイトで12枚から18枚が目安です。枚数より順番のほうが結果に効きます。 6ステップを守れば、1ステップ1枚でも提案として成立します。

リサーチにかける時間がありません。省略できますか?

省略ではなく縮小をすすめます。競合3社のトップページを見て表現の傾向を1枚にまとめるだけでも、根拠のある提案になります。何も調べずにコンセプトを書くと、方向性の説明が「好みの表明」になります。

コンセプトの言葉が思いつきません。

課題の文をひっくり返すところから始めてください。「情報が多すぎて探せない」が課題なら、コンセプトは「探さなくても目に入る構成」です。課題と接続していれば、気の利いたコピーである必要はありません。

クライアントから「早くデザインを見せて」と言われたらどうしますか?

前半をその場で口頭で通し、ビジュアルへ進みます。資料としては6構成を残し、説明の時間配分を変えるのが現実的です。順番を飛ばすのではなく、速度を上げるという対応になります。

テンプレートはPowerPointとGoogleスライドのどちらで作るべきですか?

相手の環境に合わせます。先方が閲覧するだけならPDFで渡すのが安全です。共同編集や差し替えが発生する案件では、先方が普段使っているツールに合わせると、確認のやり取りが減ります。

AIに提案書を書かせても大丈夫ですか?

構成の整理や文章の推敲には使えます。課題設定とコンセプトの決定は自分で行ってください。線引きの詳細はAI時代に選ばれるデザイナーは「提案書」で決まるに書きました。

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